「心と身体。」17歳 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
心と身体。
今がティーンの女の子と、かつて17歳だったオバサンはそれぞれ、
今作で当時の自分を思い出すのだろう。
日本も援助交際なんていうおぞましい関係が流行ったりしたが、
親父連中が若い肉体を求めていたのに対し女子高生が求めていた
のは現金。いや、それ以外にも何かあったんだろうか…。と、
そんなことをふと考えさせられた。今作の主人公イザベルが選ぶ
初老の男たちを観ていると逢えない父親への思慕が大きいように
思える。自身が腹上死させた男(これも凄いわよね)ジョルジュと
何度も密会を重ねる彼女の表情は、それまでの男と明らかに違う。
そもそも初体験のドイツ人青年を「あのバカ」とコケ落とし、母親
の秘密?(これちょっと謎)に目をつぶり、親友にすら自分は処女
だと隠し通すこのイザベル、小悪魔とかそういうレベルではない。
本来ならまず恋愛が先で、本当に好きになった人とまず結ばれる
のが最適な順番なんだけど、彼女の場合それが最後にきてしまう。
物語の終盤、ああこれで彼女も彼氏と幸せになれると信じ込んで
観ていた観客の度肝を抜くあの展開^^;やだわー、本当オゾンって。
17歳くらいの男子が経験値豊かな女を好むかどうかは知らんけど、
好きという感情よりテクニックを優先してしまう性が悲しすぎる。
私には娘がいないので分からないが、これが自分の娘だったらと
思うと居た堪れなかった。この母親の苦しみといい、嘆きといい、
まさか自分の娘が売春していたなんて思いも寄らないことだろう。
娘はまだ分からないだろうが、その後本当に愛する人と出逢って
その人の子供を産みたいと思った時に叶わない可能性も出てくる。
女の子はお金よりまず自分の身体を何より大切にしてもらいたい。
祈るような気持ちになってしまった。
いつ出るのかしら?と待ってたランプリング女史が顔を見せた時、
あぁピッタリこのラストに。と思った。夫の不貞に当初から耐え、
自身は不倫をせず、腹上死させた女子高生と並んで寝る本妻の業。
この覚悟あってこそ結婚ができるのとイザベルの感情へと訴える。
(しかしキレイな女の子M・ヴァクト。これからが楽しみな女優ね)