「原作の強み。」ゲノムハザード ある天才科学者の5日間 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
原作の強み。
サントリーミステリー大賞・読者賞に輝いた原作を知らず、
原作者が日本人なのも、日本が舞台だということも知らず、
冒頭からこれは韓国映画なんだと思い込んでしまった。
どうして日韓合作映画になったのかは知らないが、
韓国人監督が描いているこの世界観は韓国映画そのもの。
なので西島くんが出ていても、ものすごい違和感が漂う。
あれ、ここは日本の設定だよね?と思うことがしばしば。
演出そのものが韓国系なので、普通の日本人はそんなこと
しないぜ!とか、そうは言わないだろ!がテンコ盛り^^;
何だか変なのを観ちゃったなー、なんて思って観続けたが…
原作の強みはそのストーリー性。
さすが読者賞をとっただけあって奥が深く、謎が解明されて
万万歳というラストでもない。
おかしな演出にどうしよう~と思っていた自分も、中盤から
以降は話にグイグイ惹き込まれていく。
そもそも石神武人って誰なの?彼は本当はオ・ジヌ?という
ネタバレがあらすじに記載されている通り、本来ならそれが
エンディングにでもなり得そうなネタが問題の起発点となり、
記憶の混濁が自身と他人の生活を行ったり来たりするという
新たな展開を見せていく。何が本当でどこが誰の記憶?かが
主人公同様に分からなくなり、そもそもの殺人事件はどうして
起こされたのか、その真実に驚愕する。
怖いというより、何ともいえない切なさが漂ってくる展開に
エ、こういう話だったんだ…が観る者に迫ってくる。
おそらく小説で読んだら面白いだろうな、がその場で浮かぶ。
ラストを観終えた後、冒頭に戻ってその真偽を確かめたくなる
というリピート力も健在。
西島くん以外は勿体ない使い方をされている日本人キャスト。
真木よう子なんて、あれだけ??というのに驚いた。
そういうところが韓国映画なんだ、と思わせる大部分となる。
アクションと演出に於いては、これでもか!とかなりしつこい。
これ、日本人監督で作られたら傑作になったかもしれないな…
そう思うと非常に勿体ない作品。
(西島くんの韓国語はどうだったんでしょ?彼は頑張ってます)