僕が星になるまえにのレビュー・感想・評価
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僕がスターになる前の。
今や飛ぶ鳥を落とす勢いの、
現シャーロックことB・カンバーバッチが映画初主演を果たした作品。
主演という割にT・バークが上に名を連ねているのは如何なものか^^;
うら若きべネっち、しかし初主演で末期ガン患者というのも痛々しい。
彼の立案で仲良し4人衆でとある場所まで行き着くのが目的らしいが、
そこまでの道中やケンカのやりとりなど、生々しく高校生レベル(爆)
映画というより海外ドラマのノリだな~と観るなりすぐに感じた。
出色は後半の、べネっちの旅の真の目的とその遂行になるのだが…。
残念ながらあまり気持ちのいいラストを飾るものではなくて、陰鬱な
気分になる人も多いだろう。タイトルで分かるように星になる前の話。
其々の役者がリアル感満載の演技で瑞々しい世界を作り出している。
カンバーバッチの透明感
カンバーバッチが大画面で見れる!しかも初主演作!
というミーハー気分で二回観に行ったのですが、気付けば完全にのめり込んでいました。
末期ガンで余命わずかな青年の話ということで少し身構えていましたが、病気のことをジョークにしていたり、男四人のやりとりを見てるとあまりに下らなくて結構笑いました(笑)
時折ジェームズ(カンバーバッチ)の気持ちの波が表れるシーンは、自身の死と友人たちの現状への苛立ちともどかしさに満ちていて、観ていて胸が締め付けられるようでした。
話が淡々と進んでいく分、感情の起伏(と言っても抑え目な演出ですが)があるシーンはとても鮮やかに見えました。
全体を通して、舞台となる海岸部の美しい風景が素晴らしいです!
ですがそれよりも、友人たちに囲まれて幸せそうだったり、時折物思いに沈むカンバーバッチの、透明感のある表情に引き込まれました。もっと彼のいろんな表情を見てみたいと思わされます。
誰もが、星になるまえには必ず観ておくべき作品だ
難病患者を主人公にした映画はこれまでにも、星の数程多数制作されて来ている。
しかし、本作の様に、ベネディクト・カンバーバッチ演じる末期ガンの主人公の青年ジェームスと、彼の親友3人組が連れ立って彼の最期の旅に付き合うと言う、こんな形のロードムービーと言うのは珍しいと思う。
しかも、流石は英国映画である。セリフがかなり辛辣だ、ブラックジョークも含んでいる。
ついついこの様な作品を、日本で制作するのなら、甘く優しく、病気の患者を傷付けない様に、腫れものに触る様な対応をする、そんな廻りの人間の苦悩も描かれるような気がする。
しかし、この作品では、ジェームスと友人達4人の旅では、各々が抱える人生の問題を次第に明らかにして行き、ジェ-ムスの病気の人生だけが、悲劇では無いと言う態度を終始見せている点が素晴らしい、脚本の巧さだと思う。
「自分に配られたカードを生きて行くしかないのが、人生だ」とジェームスが語る。
そして、ジェームスのこれまでの生き方についても、友人達は冷静な客観性を持った目で彼を見つめて行く。
ジェームスには死が身近に迫っているからと言うだけの、同情と憐れみだけの態度で、友人達は決して接しない。
病人を特別扱いしない厳しさがある。しかし、同時に友人達も、どうジェームスに対処するのか、悩み葛藤が無い訳では無く、そんな彼らの苦悩も細かく描かれている。
映画とは関係が無くて、申しわけないが私も、学生時代の第一番の親友が32歳でガンになり、発病後半年で亡くなった経験を目の当たりにした。
その友人は、日本なので初めは告知を受けていなかったのだが、一向に回復しない病状から、遂に彼は真実を突き止める。
その彼が、「本当は、お前は俺の病気がガンだって知っていたのか?」と問い正され、どう彼に対処して行くべきか、悩んだ経験がるもので、この映画に描かれている、友人のJ・Jフィールドが演じているマイルズの気持ちが手に取る様に理解出来るのだった。
今では完治も可能なガンも多々有るけれども、実際には依然としてガンを患い死に至るケースが未だ未だ多いので、これは決して他人事でもない、身近な問題である。
そしてこの作品は、生きる事の意味及び人として、患者自身が残された時間をどの様に大切に生きて行く選択をするのかと言う問題を含めて、多くの問題提起を付き付ける。
美し過ぎる景色が広がる自然の中を旅する彼らと、全く対照的な心の中の暗い苦しみが、見事な感動となって胸にせまる。ラストシーンに至っては、本当に胸が潰れる想いだ。
本作は、今年観たベスト3に入れたい秀作だと思う。
余りにも哀しいラストだが、生きる事、死ぬ事、そして運命と人生に付いて深く考えさせられる見事な作品であった。
淡々と
わかっている下り坂のストーリー、何となくつくりもののような運び、少なからぬ未整理のあれこれ…この映画が完璧な出来かと問われれば、躊躇なく首肯は難しいものの。
Benedict、殊にその声のフリークならば、しょっぱなの台詞にノックアウト必至です。そうでなくても、緩慢に流れてゆく物語の終盤、彼演じるジェイムスが三人の友人たちに切々と訴え懇願する一連の台詞とそのトーンは、聴く者に永い余韻を残す、さすがの響きです。
逝くものの旅を追いかけるつくりではあれ、結局、逝くことそれ自体をこそ、生きることの最後のかたちにしようとする主人公の思いを、彼に叱咤される道中を経た三人(彼らとて人生を妥協と惑いと諦めに支配され始めている'半オトナ'たちであり)がそれぞれの仕方で受け止める姿のラストシーン。そしてまた響く、しずかな、深い、彼のモノローグ。
原題の“Third Star”はネバーランドへの道標である「二番めの星」を言い間違えて、とのことですが、第三惑星である地球のこととも、また、全編を通じたサイドキャラクターの顔ぶれや、ややつたないとも思える暗喩からは“星の王子さま”とのつながりもうっすらと思わせるものでもあります。敢えてファンタジー調なのは主人公の夢も絡めてのことなのかも、ですが、それがさらに邦題になると甘すぎて個人的には些か「…」ではあります。
随所にあらわれる生きものたちと、それを支える空と海と光と、闇。人がいろんなものを捨てて、ものから解放されて、最後に寄り添いたいのは、そしてその中に溶けていきたいのは、やはりそういうものでしかないと感じさせられた部分です。ジェイムスの'... sea takes me' のラインこそ、この作品で私が最も納得できた瞬間でした。
いろんな粗削りはあっても、これからも何度も、ふとまた観たくなる作品がまたひとつ増えた気がします。友だちがひとり増えたみたいな。
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