劇場公開日 2013年8月9日

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「世界観」トゥ・ザ・ワンダー 雨音さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0世界観

2022年4月3日
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知的

難しい

幸せ

この映画は結構凄いものに思えた。
ストーリーの細かいところまでは分かりにくく、ボソボソした詩的な語りが最後まで続くので、独特の雰囲気と共に何やら圧迫感を感じ、籠もった感は受ける。
でも、ひとつの世界観をそのまま映画にした、という視点でみると、けっこう凄い作品かなと思える。
映画って、こんな事もできるんだな、と興味深く感じた。

この映画の、光が織りなす様々な光景は、息を呑むほどきれい。留まっているのではなく、移ろう瞬間的な美しさ。私達は、こんな感動的な瞬間を感じることが多かれ少なかれある。

この美しい瞬間の積み重ねの流れの合間に、男女の現実的なストーリーが挟まれてくる。このストーリーは、光溢れる映像のように美しく、とはいかず、泥臭く、生臭い。そのギャップに違和感を感じる。でも、そのギャプこそが、この映画の面白さであり、この作品の世界観かもしれないと思う。

わたしたちは、幸福感で世界が光り輝いるとさえ思えるような時もあれば、自分や相手の身勝手さに下を向き、暗く陰鬱な日々や荒々しい日々を過ごすこともある。
人間のしていることは所詮そういったことの繰り返しなのだろう。
光はいつも注がれているのに、いつもフラフラし、光に近いたり離れたりしてするのが、人間の性なのだろう。

後半には、神を待ち焦がれる神父の辛さが語られている。神父は人間の苦しみへの救いの手を求める。これも人間の側の思わくであって、すぐそこにある世界とのすれ違いだ。

あま・おと