「100円の有り難み」東京難民 Tieさんの映画レビュー(感想・評価)
100円の有り難み
私たちが、築いた気になっている金銭的な豊かさなんて、いかに脆いものか。主人公の転落のきっかけは、そもそも母の死にあるが、そんなことは人間誰もが経験する出来事に過ぎない。自分を取り巻いている当たり前だと思っている世界は、当たり前でもなんでもなく、こんなにも呆気なく崩壊しうることに改めて気付かされた。
辛い現実の物語だが、一方で貧しいホームレスの人たちとのシーンは、主人公のみならず、映画を見る者にも安らぎを与える。
物質にしがみついている現代人には、本当に大切なものは見えにくい。100円の餞別も、全てを失った主人公だからこそ感じ得る有り難みだろう。
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