「後押ししてくれる存在。」ワン チャンス ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
後押ししてくれる存在。
今作を鑑賞後、改めてYouTubeで当時の映像を見てみた。
やはり本人の歌声とその印象に勝るものはない、実際に
ほぼ同じ構成で撮られているとはいえ(映画も本人の歌声で)
やはり涙が出るほどの感動度は映画にはなかった。ただ、
本人の努力の陰に、多大な貢献をした仲間がいるのを知った。
幼い頃から歌うのが大好きで聖歌隊にも所属、いじめられっ子
から逃れつつ、ずっと歌い続けてきたポール。
これだけいじめに遭ってばかりいると、人間的にも自信を失い
彼のように引っ込み思案になってしまうのも免れない。
とはいえ、アマチュア劇団に所属し、無償でオペラを歌うほど
大好きだったオペラと離れたくないという意志も、人一倍強い。
留学で歌を断念したり、事故で仕事を失ったりと、彼の半生は
本当に波乱万丈なのだが、そんな彼を熱心に支えたのが奥さん。
映画で観ても、ご本人を映像で観ても、本当に素敵な女性。
先日観た「神様のカルテ」にも出てきそうな理解に長けた妻だが、
夫がやりたいこと、その夢に関しての協力度がハンパない。
彼に惚れたのか、彼の才能に惚れたのか、如何せん、本当に
素晴らしい伴侶を得たのが、このポールにとっての大躍進だ。
彼は来日ツアーでも語っているが、妻がいなければ今の僕は…
と必ずスピーチしている、そして妻に捧げるオペラも忘れない。
夢は抱いているだけでは大成しない。自信が持てない欠点を
頑張れ頑張れと後押ししたのが彼女である。彼も、彼の両親も、
彼女に足を向けて寝られないだろうな、と思う。
好きなことはやめられないものだな、と今作でまた思った。
それを仕事にして稼ぐことができたら言うことないだろうが、
そんな簡単なことではないので、となれば地道にやるしかない。
いつか彼のようにチャンスが巡ってくるのかもしれないし、
一生巡ってこないのかもしれない。こればかりは運である。
ただ思うのは、お金が欲しくてやってるのか?と問われれば、
いつも答えは「ノー」であること。そうじゃない、自分の為だ。
周囲の理解と生活力は大前提、そのうえで継続させること。
彼のような才能が続々と発掘されている現在を改めてこう思う、
まさに「ワン チャンス」なんだな、と。
(次はS・ボイルの映画化かしら?見たいような…怖いような^^;)