「微笑ましい美談」ワン チャンス odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
微笑ましい美談
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英国の人気番組「ゴット・タレント」は本作のポール・ポッツやスーザン・ボイルを輩出したことでも有名だ、二人に共通するのは意外性なのだろうから手放しでは喜べない気もするが、人生を変えてしまうのだからテレビの力は怖い。
実話とあるがそこは映画なので面白おかしく脚色していることは伺えるがほのぼのとした空気感、それなりに山谷ある人生だがヒール役もいじめっ子くらいで登場人物は殆ど善人、見掛けはいかれポンチだがショップの店長もすこぶる良い人、特に奥さんが素晴らしい。どんな女性か気になったのでググってみたらポールにお似合いのぽっちゃり系、意思の強そうな顔立ちだった。
感動のコンテストシーンは実際の映像をうまく編集して織り込んでいる、コンテストで歌うトゥーランドットの「誰も寝てはならぬ」は荒川静香さんが金メダルをとった曲でもあり聴き馴染みだろう、パバロッティのトラウマに悩む夫を励ますために初演のSPレコードをプレゼントするのは伏線だろうか、何度聞いても感動的なアリアの名曲ですね。出演を前に必死にボイストレーニングに励むポールの様子はロッキーの名シーンを思わせ可笑しかった。
エピソードの温かい味付けやキャスティングも新鮮だ、何より脚本のジャスティン・ザッカムがドラマティックに不幸も描きたい誘惑はあったろうにベタとも言える微笑ましい美談に終始してくれたことに感謝したい。
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