「泣いてて飯が食えるか。」上京ものがたり ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
泣いてて飯が食えるか。
サイバラ作品は全て観ているが今作は「女の子ものがたり」の監督。
少女時代からの成長譚ということで、今回は美大に合格し上京して
何とか漫画家として成功をおさめた…のか?というところまで。
西原理恵子本人がモデルの自伝とはいえ、ヒロインが北野きいだ。
設定も現代になっているから、あまり意識しない方がいいのかも。
なんて思っていたら、突然ご本人が(出るとは思ってたけど)
エレベーターガール(ただの掃除婦だよね)として露骨に登場する。
良くも悪くもサイバラ節は健在で、それこそがあの人の持ち味なの
だから、下品やエロが存分に出てこなければ「らしさ」が無くなる。
ちなみに私は今回も鼻水たらしまくって泣いた。
感動というより、こういう強い女の物語に非常に弱い自分がいる。
瀬戸朝香と黒沢あすかの「泣くなっ!!」というあの怒鳴りっぷり。
私にもし娘がいたら、ああして喝を入れてやりたいと真剣に思う。
すぐに泣くのはオンナのいやらしい習性といわれるが、
実際問題、本当に苦しい時や悲しい時には涙なんて微塵も出ない。
そんな時、こんちくしょう!!と仁王立ちして踏ん張るのが女だ。
個人差はあるけど、サイバラ本人が非常に踏ん張る女であるため、
ああいうヒモ(巧かったね~池松くん)が頼りにしてしまうのである。
よく働く勤勉男性からすれば、あんなヒモ男のどこがいいのか?と
不思議で堪らないところだろうが、
真面目な亭主が散財不倫妻を養っているケースが多いことを思えば
どっちもどっちで好みの問題、持ちつ持たれつということになる。
しかし自分の好きなことで食べていくという試練がまた描かれる。
そんなねぇ、親がお前は特別だ、なんてそりゃ皆が特別だからね。
美大で最下位…(でも美大に入れるだけでもスゴイ)とはいえ、
じゃあ美大をトップで卒業すれば、就職先は安泰なんだろうか??
やはり食っていくためには、本人の社会性と努力が不可欠である。
サイバラ…じゃなかった、今作の菜都美も友人からバカにされるが、
結局あんなヘタな絵で(ゴメンなさい)デビューできちゃうんだから
運にまかせろ!と思うのだ。幸運と不運は交互にやってくるけどね。
恥も外聞も捨て、目的を達成するまで奮闘する菜都美に共感する。
オンナだから特別視してくれる世界というのもあるだろうが、
綺麗な顔したアイドルとて必死に枕営業している実態もあるという。
かなぐり捨てなきゃ達成できない夢を持つと綺麗事では済まされない。
菜都美の父親(継父だけど)は本当に彼女を可愛がってくれたそうだ。
よく似た男(今作の良介)を好きになるのは母親側の血筋なのかも。。
カメラマンになるのが夢で、のちにカメラマンになった?設定から、
前夫のカモシダさんか?と思ったのだが、時系列的に違うみたいだ。
実生活で色々あったサイバラ夫妻だが(最期まで看取ったのがエライ)
なんと今は、あの高須クリニック院長と付き合ってるというのだから、
さすが~^^;、この人の人生はどこまで転がるんだ?と興味が尽きない。
四十八手でも何でも使って次世代まで生き延びて下さい(一ファンより)
ヒロインのきいちゃん、
昼寝のシーンで、だらしなく股を開いて寝ていたところが良かった。
あそこだけ、サイバラぽかったよ(^^)v
(啖呵きるなら、これからは瀬戸朝香と黒沢あすかに任せましょう♪)