「真逆の世界で引き合う恋の引力」アップサイドダウン 重力の恋人 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
真逆の世界で引き合う恋の引力
重力が上下に引き合う世界。
“上の世界”と“下の世界”の男女の恋を描いたSFファンタジー・ロマンス。
以前見た吉田康裕監督のアニメーション「サカサマのパテマ」とまさかのネタ被り。
同作を見た時、本作も合わせて見ようと思いつつ、結局今頃になってようやく鑑賞。(もう一年以上も経ってるんだけどね…(^^;)
アニメならまだしも、実写でこの世界を表現するとなると、やっぱりユニーク。
“下の世界”から見れば“上の世界”は上下サカサマで、“上の世界”から見れば“下の世界”が上下サカサマで…「サカサマのパテマ」同様、時折頭の中がくるくるこんがらがる。
同じ室内で上下サカサマで仕事するシーンはユニークを通り越してシュール(笑)
(下の世界から見た)空に広がる都市などのビジュアル、幻想的な映像、加えて細かい設定やルールもあり、この世界観に目を見張る。
話は“重力違い”の「ロミオとジュリエット」。
かつて出会った“上の世界”の女性エデンが忘れられない“下の世界”の若者アダムが、唯一上下の世界を通じる大企業に就職し、そして遂に再会を果たすが…。
「ロミオとジュリエット」に韓流ドラマのような記憶喪失。
それでもエデンにアタックし続けるアダム。
上下世界の者同士の交流は禁じられている故、ただ会うだけでもあの手この手駆使しての一苦労。
切ない胸キュンラブストーリーになりそうだが、(ネタバレで)エデンの記憶も突然戻ったりして、ここら辺もうひと踏み込み欲しかった。
上の世界=富裕層、下の世界=貧困層の格差社会、アダムが研究している老化を若返りさせるピンク・パウダーなどもちょっとおざなりになってしまったのが惜しい。
キャストでは、アダムの“上の世界”の同僚の中年社員役のティモシー・スポール。
愛想いい顔しても“上の世界”の人間だから実は…と思っていたら、最後までいい役だった(笑)
「サカサマのパテマ」は冒険活劇要素もあるのでスケールや面白味はそちらにちと軍配上がるが、実写で描かれた上下サカサマ世界だけでも一見の価値あり!