劇場公開日 2013年6月22日

「今までの攻殻とは違う作品と思った方がいい」攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain yoneさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今までの攻殻とは違う作品と思った方がいい

2020年10月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

攻殻機動隊の新作。

押井守監督の「Ghost in the shell」「イノセンス」、神山健治監督の「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」を経て、4つ目の攻殻機動隊のストーリーということになる。

監督は黄瀬和哉氏。作品は観たこと無い。

私は、神山監督の練りに練ったストーリーを展開してくれるSACシリーズが大好きなので、今回の作品はちょっと違和感があった。何で神山さんが続編作ってくれないんだろう?って。続編作るという噂も一時期聞かれたけど、結局、神山さんは石ノ森章太郎氏の「サーボーグ009」の新作を制作することを選び、昨年劇場公開された。で、この「009 RE:CYBORG」は大変素晴らしい作品だった。さすがと言うべきクオリティ。

ただ、「009 RE:CYBORG」観たとき、神山さんは攻殻機動隊を卒業したんだな、と何となく感じた。
同じテーマの映画を攻殻機動隊でもやろうと思ったら出来ただろう。しかし、違う設定で作品が作りたかった、自分自身進化したかったんだろうな、と。

そういう意味で、多少違和感はあったけど、観始めると今回の新作はわりとすんなり受け入れられた。

今回の攻殻機動隊は、声優陣も総入れ替え。
過去の攻殻機動隊とはかなりイメージが変わっている。

劇場入ったときに渡されたパンフの中に、黄瀬監督が原作者の士郎正宗氏から設定やプロット渡され、士郎さんの意図として今までとは全く違う攻殻機動隊がやりたかったんだ、という一文が書いてあった。それで納得。これは今までの攻殻とは全く違う時間軸の作品なんだ。形としては公安9課編成前なので、過去ではあるが、草薙の生い立ちやバトーとの初めての出会いなどは、SACシリーズと重なることは無い。

今までの攻殻の中で、一番原作に近いイメージの作品という印象。

ストーリーは割と複雑でよく練られている。しかも4部作。時間は1部60分ほど。
私は最初一話完結なのかと思っていたのだけど。。どうやら、DVDも7月末にすぐ発売されるみたい。

本来オリジナルDVDで発売する作品を映画館で先行公開している、という形のようだ。
どおりで、映画チケットが一律1,200円だったわけだ。。

で、 細かい設定も今までの攻殻とは違っている。
今回、草薙達サイボーグは、人ではなく「武器」として完全に「モノ」扱いされる存在らしい。今までは、自我について悩むことはあっても人権はあったように思う。一歩踏み込んだ設定に敢えてしたというわけか。。この辺りの設定は次回作の伏線とかにもなってるのかな?

9課(草薙のチーム)編成前なので、バトーはレンジャー(もう辞めてる?)、トグサは刑事、パズは陸軍と所属も違う。イシカワやサイトー、ボーマはまだ登場もしていない。この7人がどう出会ってチームになっていくのか、これがこの新作のメインストーリー。

横軸としては、今回の「Ghost Pain」で草薙が感染したウィルス「ファイア・スターター」が軸となってストーリーが展開されるみたい。サスペンス性を盛り込みたい、とパンフに書かれていたので、サスペンス好きな自分としては嬉しい設定。どういう展開になるかは次回までのお楽しみ。

全体的にクオリティも高く、時間も1時間とちょうど良い。
コーネリアスの音楽も結構イメージ合ってたし。

これは次回作が今から楽しみ!!
次回作「攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers」は、今年「2013年11月30日」劇場公開予定。

新しい攻殻も楽しめそうだ!!

yone