「風が止んで、時が止まる瞬間、そこを押さえる」二流小説家 シリアリスト shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
風が止んで、時が止まる瞬間、そこを押さえる
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映画「二流小説家 シリアリスト」(猪崎宣昭監督)から。
「ミステリーサスペンス」と紹介されていたこの作品は、
どこかに問題を解決するキーワードがないか、と
メモをしながらの鑑賞となったが、なかなか難しかった。
作品の中で、殺人犯の死刑囚・呉井大悟が、
なぜか、小さい頃の記憶として写真について語るシーンがある。
「一番大事なのは、自分の求める何かが現れるまで、じっと待つこと。
風が止んで、時が止まる瞬間、そこを押さえる。
最初に俺はそれを教わった」と。
その部分だけが、妙に印象に残り「気になる一言」とした。
特に「時が止まる瞬間」という感覚が、素敵だなと思う。
「風が止んだ瞬間、そこを押さえる」でもおかしくないのに、
写真は常に流れ続けている時を止める力を持っていると言いたげだし、
だからこそ、写真の想い出は色褪せない、とも言えそうだ。
インパクトがある景色であればあるほど、その瞬間に戻れる気さえする。
殺人犯人が「殺した女性の首なし写真を残す」感覚は理解できないが、
わざわざ写真を撮るという心理の中に、そういった「時を止める」ことに、
何かしらの意味を求めていたのかもしれない。
この心理描写を知るには、原作のデビッド・ゴードンの同名小説を
読むしかないのかなぁ。
でも、謎が解けて犯人判っちゃったし、微妙な選択だな、これは。
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