「処刑人は女の子」天使の処刑人 バイオレット&デイジー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
処刑人は女の子
『ハンナ』でもキレのあるアクションを見せてくれたシアーシャ・ローナンが再びアクション映画に主演してキレッキレの…
…ア、アレ? 確かに銃をブッ放すシーンはあるけど…。
この邦題に変に期待した自分が迂闊だった。まあシアーシャが、B級チックなバイオレンス・アクションに出る訳ないし。
それに、まんざら期待外れでもなかった。それなりに面白かった。
一見、普通のティーンの女の子のバイオレットとデイジー。
お年頃で、新しいドレスも買いたい。
ドレスを買う為に、彼女たちはバイトもしなければ風俗・売春的な事もしない。
殺し!
彼女たちは簡単な殺しを請け負うティーンの殺し屋。
ドレスを買う為に引き受けた仕事も簡単なものの筈だったが…
ターゲットのおじさんが何かいい人。
ターゲットが帰ってくるまでターゲットの部屋でつい居眠りしちゃったら、ターゲットのおじさんが布団を掛けて自分たちが起きるのを待っていた。
いきなり出鼻を挫かれたけど、さあ、お仕事お仕事。
ところがこの人、穏やかでにこやかで、手作りクッキーでおもてなし。
そして、殺してほしい、と。
そしたら何故か殺せなくなっちゃって…。
ターゲットに情が移るなんてプロ失格。
だけど、何でこの人がこんなに死にたがるのか、どうしても気になる。
今までそんな事考えた事も無かった。
殺し屋とターゲット…いや、二人の少女とおじさんの奇妙な交流。
パートナーでもあった二人の関係にも波紋が…。
ちょいちょい殺しのシーンはあるが、オフビートなドラマといった感。
擬似父娘のような関係にほっこり。
二人は愛情に飢えていて、おじさんに何らかの父性の温もりを感じたのは間違いない。
おじさんもまた…。
章仕立てで伏線張られて回収とか、最後にどんでん返しあるとか、そんなトリッキーな仕掛けも無く、これはこれで潔くていい。
シアーシャ・ローナンの映画を見る度に、美しいとかキュートとか魅力的とか言ってる気もするけど、本当にそうだから仕方ない。あのブロンドヘア、青い瞳、白い肌、あどけない雰囲気…そりゃあ、男4人組に殺されるより、シアーシャに殺されたい。
パートナーと言うか先輩と言うか、アレクシス・ブレーデルもキュート。…と思ったら、シアーシャより一回り以上も年上。何て童顔!
ジェームズ・ガンドルフィーニがさすがの妙演。ホント、惜しい人を亡くした…。
殺し屋でも、女の子は女の子。
おじさんはきっと教えてくれたんだろうね。普通に生きなさい、と。
風変わりだけど、実は思いの外、優しい人生見つめ直しのドラマ。