「二人の女性と一人の男の不思議な物語」天使の処刑人 バイオレット&デイジー cromさんの映画レビュー(感想・評価)
二人の女性と一人の男の不思議な物語
邦題の『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』なんて聞くと低予算のアクション映画かと思う。実際にゲオでのジャンルは洋画アクションになっている。
確かに銃撃戦はあるが、序盤のみで以降はヒューマンドラマの形で物語は展開されていく。アメリカ映画なのにフランス映画のように見える。『アメリ』の雰囲気が近く、なんともメルヘンで不思議な物語だ。今作では3人の人物が主軸となっている。脚本は殺し屋のデイジー(シアーシャ・ローナン)とバイオレット(アレクシス・ブレデル)はキュートなティーンエイジャーで親近感の湧く女性で、バイオレットの方が殺し屋になってからの時間が長いので新米のデイジーはバイオレットの相棒で彼女に憧れている。逆いバイオレットは自身にないものを持つデイジーに嫉妬している。マイケル(故ジェームズ・ギャンドルフィーニ)は劇中では名前は分からない男で今回の殺しのターゲットであり、娘と絶縁状態になっており、なんとしても娘との仲を取り戻したいマイケルだが、癌を患い残りの寿命も短い状態で、余生を諦めている。デイジーとバイオレットはマイケルを殺しに家に侵入するも眠りに落ちしてしまう。マイケルは警戒せず、彼女たちにバスタオルをかける。デイジーとバイオレットはマイケルの行動、言動に興味を持ち、3人の奇妙で神秘的な関係はアパートの一室で描かれる。何故、マイケルが娘と仲が悪くなってしまったのか、デイジーとバイオレットはマイケルを殺すのか。
観終わった後は、ホラーゲームの傑作 サイレントヒル2と同じ(身をうちひしかれるような)何とも言えないが、悲しく、寂しいといった感情を抱く。
最初はシアーシャ・ローナンの『ハンナ』を観ようと思ったが、レンタルされていて、シアーシャが出ている今作を手に取り観たが、この不思議なストーリーでBGMも深く染み渡る。是非、これから見る人はデイジー、バイオレット、マイケルの3人の行く末を見届けてほしい。きっと観終えた後は、優しい気持ちになれるはずだ。