「仮面ライダーの変身を律儀に待ってくれるショッカー、是か非か。」黒執事 Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)
仮面ライダーの変身を律儀に待ってくれるショッカー、是か非か。
枢やな「黒執事」を原作として映画化。
映画版オリジナルストーリー、
黒執事セバスチャンが仕える主人は原作の少年から男装の令嬢という設定に変更。
皆様が諸手を挙げて喜ぶカイリキーが男装の令嬢・幻蜂汐璃を
“あくまで執事な”セバスチャンを『ダジャレで大賞』でお馴染み齋藤智裕が演じています。
正に、「第5回ポプラ社小説大賞受賞」!!
…非常に面白くなかった。。
上映時間119分。
ほぼ苦笑いしか無い時間だったのですが。
特に酷かったのがアクションシーンと主役二人の役割分担。
アクションシーン。
褒める方もいるみたいですが、
あまりに不自然かつ無駄に清潔じゃない??
冒頭から終盤まで主役キャラの無駄な語りが入り
周りの敵キャラが律儀にそれを待っている。
仮面ライダーの変身を律儀に待ってくれるショッカーのように。
幼児向け、もしくは20年前ならば通用したかもしれませんが
このテンポ感、「お約束感」を2014年に提示したことは『蛮勇』としか言いようがありません。
阿呆のように突っ立っている悪役、不自然で違和感を覚えます。
何より普通にテンポが極端に悪いです。
あと血が出なさ過ぎ。
“あくまで執事な”セバスチャンの凶悪さを描くためには不可欠であろう下賤な糞共の血が全く流れず、殺陣を観ているような空虚さ。
昨年の「脳男」や「地獄でなぜ悪い」を見習ってバッサバサ、血をドッバドバ流せば良かったのに。
糞ヌルい画面しかありませんでした。
それから主役二人の役割分担。
原作と設定を変えているとはいえ
話を見る限り、汐璃とセバスチャンの役割分担は頭脳と圧倒的過ぎる腕力のはず。
ドラマ「相棒」の右京さんと、薫ちゃんがTウィルスに侵されたイメージ。
(肩に目玉が出てきてしまっているイメージ)
ところが蓋を開けてみると
右京さん役であるはずの汐璃は大した推理をしない
無駄に現場に足を運んで敵に捕らわれ全体の推進の邪魔をする
という殆ど良い所無し。
代わりに“あくまで執事な”セバスチャンが
無駄に気を利かせ、推理をして極端な腕力を発揮して話を進めます。
ハッキリ言って幻蜂汐璃は不要、邪魔。
密室でセバスチャンに『事件を解決しろ!!』と命令した方がナンボか効率的な気がします。
全くこのキャラの意義を見出すことが出来ませんでした。
唯一頑張っていたのが優香。
志村劇団の女将さんとしてキチンと誠実に演じていました。
あの色気や立ち位置は全盛期の有森也実を彷彿するさせるものがありました。
彼女の、清純さを残しつつの水商売感は宛がわれた役にピッタリでした。
ただ主要人物の見せ方が露骨に綺麗に見せようとする事務所の意向は観ていて鼻につきました。
或る人の最後の中途半端な演出もそうですし、或る人のみ時間の経過が極端に遅い演出も噴飯モノでした。
ハッキリ言って酷かったです。
次回に向けた前フリはしていましたが
演者、観る側の心の平穏を考えて次作は撮らない選択が賢明と思われます。
邦画のBIG BUDGET映画の現状を知りたい方、オススメです。