「音楽で独自の世界観を。」ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
音楽で独自の世界観を。
名前からして、なんて胡散臭い(爆)と思われてしまう人だろう^^;
現に私もそう思っていたし、今は違うのか?と聞かれたら、正直、
どちらでもないかな。と応える気がする。
彼そのものに特別な興味はない。歌は確かに上手いと思うけれど、
こういう感じの歌い手は他にもいるような気がする。
なので…。じゃあこのナオトの持つ特別な才能って何なのだろうと
今作を観ながら考えてみることにした。
某TV番組で彼が世界一周旅行を行った際に、アラファト議長の前で
歌ったシーンを見たことがある。
凄いことをする日本人がいるんだなーと思ったものだが、そういう
彼の行動力たるや、全てにおいてハンパがない。
どの国の誰かれに気さくに話しかけては友達になってしまうタイプ。
子供からご老人まで、まぁどんどん入っていって巻き込みをかける。
多くの諸外国に行って学び、分かった点もあるのだろうが、
人見知りで遠慮しがちな日本人から見て、羨ましいのはこの上ない。
だから彼の行動の一つ一つが素晴らしく思えて仕方ないのだろう。
今回で3回目のデビューというから、かなり苦労をしているらしい。
昨今のニュースでは、実は結婚していて子供もいるとかなんとか…。
なるほど、子供相手のシーンではそんな父親の顔がチラリと見え、
微笑ましいシーンがたくさんあった。
サッカーに興じたり、ダンスを踊ったり、ステージ以外もアクティブ
に動き回るナオト。
全体的に楽しく躍動感ある映像が並んでいるが、舞台に上がれるか
上がれないかの勝負をかけるシーンでは、かなり真面目な顔に変わる。
幾ら知り合いだ、友人だといっても、相手は他国のスーパースター。
同じステージ上に立たせてもらうこと自体難しい(ほぼ飛びこみだし)
アチラ側の事情、っていうのが常にあるもんだ。
しかし腐りもせず、めげもせず、すげぇ~すげぇ~♪なんて言いながら
一心に飛びこんでいく彼のバイタリティには恐れ入る。
ともあれあのくらいの度胸がないと海外じゃ舞台には立てないだろう。
遠慮せず図々しくガンガン売り込む姿勢が日本人らしくないのがいい。
ただそういう彼の姿勢の先に、どんな目標があって、彼は今後どの国で
どんな風に自分を売り込んでいくつもりなのかが今ひとつ分からない。
また舞台に立てばいいんだよな!と結んではいるが、彼はこんな風に
生涯をかけて海外放浪の旅に出ては、どこかで舞台に立ち(誰かと共に)
そこにインスパイアされ音楽を作り続ける人でいるつもりなんだろうか。
(日本にいると、やりたいことが小さくなっていくって言っていたけど)
ラストで彼のオリジナル曲が完成し、それが流れた時、そうかこの作品を
作るために彼は、あれだけ旅をして、あれだけの人達から吸収したのか?
と、そんな風には感じた。とても心地良くいい曲だと思う。
でも、絶対にナオト・インティライミでなければ出せない、この世界観!
と思えるほどの強烈なインパクトは、私には感じられなかった。
あれだけ派手に活動できる人なのだから、音楽面でももっと冒険をして
エェっ!?と思う驚きの旋律!なんていうのを是非とも聴いてみたい。
ナオトが世界中を旅する過程で彼が成し遂げる様々な行動の印象が強く、
ドキュメンタリーとしてはとても面白い作品。
立ち止まらずに走り続けていく人なんだろうと、そんな印象を持った。
(なんか若い頃より今の方が可愛い顔している、と思ったの私だけ?^^;)