「前作超えとはいかないが、ファミリー映画としては流石!の出来」怪盗グルーのミニオン危機一発 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
前作超えとはいかないが、ファミリー映画としては流石!の出来
2010年に大ヒットを飛ばした『怪盗グルーの月泥棒』。
その続編が遂に登場!
悪事から足を洗い、三姉妹のパパとして奮闘していたグルー。
そんな彼の腕を買い、正義の組織『反悪党同盟』がある重要な
任務を持ち掛けてくる。久しぶりに舞い込んだハデな仕事に
浮き足立つグルーだったが……みたいなアラスジ。
まずはグルーや三姉妹やミニオン達をまた観られるという
だけでも前作のファンとしては嬉しい。
序盤から良いパパっぷりを見せるグルーがお茶目。
おてんばな三姉妹も元気いっぱい。
相変わらず無垢なアグネスの優しさにも泣かされる。
(「大人にならんといてや」ってセリフ、素敵だよね)
ややテンポが間延びしているものの、カラフルで笑えるシーン
満載で、今回も3Dの楽しさを存分に引き出した映画になっていた。
また前作は親として成長していくグルーが描かれていたが、
今回はグルーの恋物語が描かれる。これがまた純情でいじらしい(笑)。
ただ、ちょっと今回僕は期待値を上げすぎていたかも
しれないかなあ。個人的には前作ほど感動はできなかった。
恋に臆病なグルーに笑いつつ温かい気持ちにはなれるのだけど、
メインのエピソードに対して割合が不足し過ぎたのか、
展開がかなりの急ぎ足だった点が惜しまれる。
ストーリー自体についてもあまり煮詰まっていない気がする。
なぜミニオンを誘拐するという点は結局あまり説明らしい
説明もされず拍子抜け。
ネファーリオ博士の一連の行動もいちおう理由はあるのだが、
最後の“解決策”も含めてあまりにも都合が良すぎて興醒め。
エル・マッチョが潜伏していた理由やカツラ店にPX-41があった
理由、マーゴの初恋なども消化不良のまま終わってしまった感じ。
『まあ子どもなら気にならない部分なのかなあ』と思いつつも、
物語やキャラの細部で引っかかりを感じてしまう内容だった。
もう少ししっかりストーリーやキャラを練って欲しかった。
子どもを笑わせつつ大人の心にも響く物語だった前作に対し、
今回は“子ども向け”という域を抜け出せなかった感が強いかな。
ただそれでも、子ども連れで楽しむ映画としては相変わらず
素晴らしく、子ども達のキャッキャと笑う声は始終絶えなかった。
3Dでピロピロ笛やシャボン玉が飛び出すエンドロールでは
もうみんな大喜び。なんだかんだでこういう映画は
やっぱ映画館で観るのが一番だと思えます。
以上!
うだつの上がらない独身の兄ちゃんとしては3.5判定だが(笑)、
子ども連れで観るなら4.0~判定くらいでもいいかも。
ファミリー映画としては流石の出来でした。
〈2013/9/21鑑賞〉
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追記:
声優についてちょっとだけ。
グルーと共に事件を追う暴走気味の捜査官ナタリーのキャラは
ポジティブでトコトンとぼけてて楽しい……けど……
同郷の方なのであまり言いたくないが、中島美嘉の声はイカン。
セリフは聞き取りづらいし声の抑揚もイマイチ。
声優の良し悪しを語れるほどに詳しくはない自分だが、
歌手だから声優も上手いとはやっぱ限らんものなんだろうね。
うーむ、日本版イメージソングを歌ってますとかそういう
事情がある訳でもないのに(そんなビジネス判断もイヤだが)、
一体どういう経緯で彼女を起用したのかしら。
あ、彼女のフォローにはならないが、線の細い中井貴一は
どっしりキャラのエル・マッチョに意外とハマってました。