「人の不幸は飯の種」刺さった男 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
人の不幸は飯の種
スペインの鬼才、アレックス・デ・ラ・イグレシア監督のブラック・コメディ。
とにかく本作、笑っていいのか、戦慄していいのか…。
主人公の身に降りかかった災難は衝撃的だが、展開や作風はシュールでシニカル。
美術館である事故に遭った男。
何と、鉄の棒が頭に刺さり、身動き出来なくなってしまった…!
刺さってます。見事に刺さってます。普通あんな風に刺さったら死ぬんじゃないかというくらい刺さってます。
でも奇跡的に死なずには済み、特に痛みも無いようで、意識もはっきりしている。
当然救出作業が行われるのだが、大胆にも鉄の棒を切ろうとする際の振動が、見てるこちらにも痛い!
びっくりなワン・アイデアのシチュエーションよりむしろ、人間模様こそメイン。
群がるマスコミ、体裁を気にする美術館側、さらにはこれを利用して金儲けを企む主人公…。
事件や珍事は飯の種。
そんな中で唯一身を案じるのは、妻や家族のみ…。
いつまでもこの状態で居られる訳はない。次第に命の危険が…。
この珍事件の結末は…?
ちょっと浮かれた主人公にとっては災難であり自業自得、周りの者たちには皮肉や風刺、でも家族の事を思うと悲劇であった。
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