生き抜く 南三陸町 人々の一年のレビュー・感想・評価
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今回の津波では心身ともに痛めつけられました
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映画「生き抜く 南三陸町 人々の一年」(森岡紀人監督)から。
「被災者たちの静かな思いを伝えるドキュメンタリー」そのもの。
「今、何一つないもの。壊滅だもの」の「壊滅」の2字が重たかった。
避難所で、頭を抱えて呆然としている高齢者の姿や、
「毎日ここで行方不明の夫を捜していた」という妻の憔悴しきった様子。
さらに「もう、建物がなくて住宅ローンだけ残っちゃいましたよ」と
空元気に笑う人たちが直視できなかった。
極めつけは、長い期間、仮設住宅の抽選にも当たらず、
夢や希望を持つことなど考えられず、ただただ毎日を過ごすだけ、
そんな高齢種の女性が、カメラに向けて呟いた台詞、
「今回の津波では心身ともに痛めつけられました」が心に残った。
私たちは簡単に「心身ともに」という単語を口にするけれど、
体験から出た「心身ともに痛めつけられました」を耳にしてからは、
そう易々と使えなくなった。
こういう作品は、物語を勝手に作りやすくなってしまうが、
ドキュメンタリーとして、静かに被災者の声に耳を傾けていた。
タイトルも「生きる」ではなく「生き抜く」。
ここに、被災者たちの強い思いが込められていることを感じた。
3.11を忘れないためにも、年に一度は観直したいなぁ。
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