「何事も、「タイミング」って大事」今日、キミに会えたら さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
何事も、「タイミング」って大事
原題は「LIKE CRAZY」です。
狂おしいほどに(LIKE CRAZY)……、恋した、愛した時間を思い出しながら、シャワールームで複雑な表情で抱き合う二人のラスト。
・ブルー・バレンタイン
・アデル
・テイク・ディス・ワルツ etc
登場人物達は、シャワールームでその愛に悩む。
あの、シャワールームは、愛の行き詰まる場所なんですか?
イギリスからアメリカに留学したアンナ(フェリシティ・ジョーンズ)は、同じ大学生のジェイコブ(アントン・イェルチン)と出会い恋に落ちます。でも在留資格が切れたのに居続けたことがばれて、強制送還されます。離ればなれになった二人の、切ない遠距離恋愛の始まりです。
正直に言います。同じくドレマス監督作「あなたとのキスまでの距離(この邦題かったる!)」のフェリシティ・ジョーンズがあまりにも可愛かったのと、ジェニファー・ローレンス目当てで観ました。
本作はローバジェットの為、キャノン EOS 7Dデジタル一眼レフカメラで撮影されたようです。また少ない台詞は、全てアドリブ。
ドレイク・ドレマス監督の(私は)苦手な手ぶれのドキュメンタリータッチ&その瞬間、瞬間で、生まれる生々しい言葉&Dustin O'Halloranの繊細なクラシック音楽で、切ない遠距離恋愛を疑似体験したようにな気持ちになります。
アメリカのジェイコブから電話がかかって来て、寝てるところを起こされて、不機嫌に素っ気なく答えて電話を切るアンナ。
でも切った後に眠れなくなって、ジェイコブに電話して、泣きながら「こっちに来て」って言うとこ。分かる!
切った後に、今の冷たかったかな?なんて酷い言い方したんだろう!って飛び起きるまでのアンナの心の変化が、その表情からよく分かる。
ジェイコブも「分かった、30分で行くよ!」と笑った後に、「2~3日待ってて」って。ここ、二人の感情の起伏が伝わる、凄くいいシーン!
でも恋する気持ちが愛情に変わって、結婚。アンナがアメリカに住むってなった時に、違法滞在の過去が問題になって、配偶者ビザが認められない。結婚はイギリスでしても、別居状態です。
ここから、二人の問題は距離だけではなくなります。
遠くの好きな人より、近くの寂しさを埋めてくれる人。
そんな人に縋りたくなる気持ちも、よく分かる。
アンナが浮気相手とベッドにいる時、切れてしまうブレスレット。
傍に浮気相手がいるアンナが「I MISS YOU」とメッセージを送り、同じく隣に浮気相手がいるジェイコブが「I MISS……」まで打ち込んで消してしまう。とか、二人に起こる出来事に、いちいち鳩尾が痛む。
また、この浮気相手二人が、魅力的なんです。ジェイコブの相手サマンサが、まさかのジェニファー・ローレンス。私見ですが、ジェニファーは「早熟のアイオワ」「ウインターズ・ボーン」また本作のような、インディペンデント系の映画の方が、個性が際立つと思います。
アンナのお相手サイモンが、トワイライトシリーズのチャーリー・ビューリー。むっちゃイケメン。
もうそれぞれの浮気相手と、付き合えばいいじゃん!って、恐らく二人も気持ちが浮気相手に、相当入り込んだ瞬間!
アンナの配偶者ビザが認められます。
なんだろうか、このタイミング!この運命の悪戯!あ、悪戯というか、何かを試される感じ。試された二人の結論が、「シャワールームで行き詰まる愛」なんです。
行き詰まる愛と書いて、「結婚生活ってそんなもん」と読み替えてもいいと思います。
何事も、「タイミング」って大事。浮気も結婚もタイミングだと思う。捕まえたり、わざと逃したり。タイミングとは上手く付き合いたい。そして、潔くそこから引いたり、突き放す強さも持ちたいと思う。
あと、ここまで書いてこんなこと言うのもなんですが、ジェイコブ(アントン・イェルチン)に拘る理由が、全く分かりませんでした!そんなに魅力ある!?