「本編を煮詰めた感じ。」劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト NandSさんの映画レビュー(感想・評価)
本編を煮詰めた感じ。
前提として
・『仮面ライダー555」本編は全話視聴済。
・ある程度ネタバレ済。
・田崎竜太監督の他作品は"仮面ライダー"系統を大体視聴済。
本編の要素を煮詰めて煮詰めて、そこにファンサをトッピングした感じ。
まずは世界観。本編とは真逆なだけあって、一般民の反応が何もかも異質。初っ端から異常さは感じられる。すでにホラー。
それと、近未来テクノロジー的な描写も違和感が無かった。2023年でも違和感が無いってかなりすごい。
そして何よりもウルフオルフェノク。出すタイミングがめちゃくちゃうまい。本編前って言うのもそうだし、この作品内では木場さんの感情を揺さぶる起爆剤としても素晴らしい。
一番長く人間とオルフェノクの間で戦ってきたキャラクターが、視聴者が一番見てきた主人公だったなんて……めちゃくちゃアツいじゃないか。
この『~555』という作品の魅力は、やっぱりキャラクターにあると思う。
まずはたっくん。基本は変わらないものの、救世主としての役割が付与されている。ぶっきらぼうな救世主だ。
真理も相変わらず。やっぱりたっくんと真理は兄妹に見える。
草加は意外と見せ場が少ない。ただ、世界観が変わるとみんなへの接し方もこう変わるのか……という面白さがある。そこは見もの。
啓太郎はまさかの変身。アクションがたっくんリスペクトなのが愛おしい。
海堂と結花はまさかの死別カップルエンド。本編とは違うルートをたどったものの、違和感がない。なんなら本編の方に違和感が残るレベル。散っていく結花は美しい……。
そして木場さん。彼の慟哭が観れる。もう、これだけで観に来た価値あるよ、本当に。木場さんが悩み苦しみ決断する様子が僕は好きなんだ……!そこからオーガに変身、たっくんの全てを知って、揺らぐ……もう完璧。
たっくんと木場さんのバトルはクライマックスになるのが当然。何よりもこれが観たかった。
逆に序盤のミナというキャラクター、彼女だけがどうも蛇足に感じてしまった。恋愛感情とかそういうのを映したかったのだろうけど、舞台装置にしか見えなかった。記憶操作云々も別に無くてもよくね……?
アクション面もみんなかっこよかった。特にたっくんファイズ。各フォームの魅力を余すことなく魅せてくれる。本編以上にかっこよくない???
強いて言えばブラスターギアが一瞬でも使えない理由付けが欲しかったところか……
あとオルフェノクもかっこいい。なんだ激情態って。本編でも出してくれよ!あとコブラの激情態も観せてくれよ!!
地味に名言も多い。本編より圧倒的に名言が多い。そりゃあ、劇場版好きになる人も多いわ。
終わり方も良いんだ。巧と真理という組み合わせもいい。人間とオルフェノクの架け橋。
本編観なくても、『555』ファンでも楽しめる。これはデカい。
『~555』の魅力をめちゃ濃く味わえる。そんな作品。