走れメロスのレビュー・感想・評価
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文学の映像化として理想的な一本
新潟国際アニメーション映画祭の今敏監督特集で見た。正直、こんなに面白い劇場アニメがあまり知られていないのかと驚いた。今敏はこの作品では監督ではなくレイアウトで参加。
沖浦啓之が総作画監督で参加、今敏とのコンビで画面の安定感もキャラクターの芝居もすばらしい。絵に関してだけではく、脚本がよく練られている。無謀とも言える挑戦にどうしてセリヌンティウスとメロスが応えるのか、説得力を持って描かれていた。ディオニス王のキャラクターも、傲岸不遜な独裁者であるが、奥深さも感じさせるところがあるように描かれる。
ヒロイン役に中森明菜が配役されているのだが、これが抜群にはまっていた。薄幸そうな雰囲気が作品の魅力をさらに際立たせていた。
王に命じられた見張り役が次第にメロスに感化されていく展開も素晴らしい。原作の素晴らしさを引き出し、見事に膨らませている作品。文学の映像化として理想的な一本ではないだろうか。
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何の為に走るのか…?
太宰治の原作で「何故、メロスは走るのか?」というのは、
太宰が当時の若者を鼓舞する為の「プロパガンダ」であり
「走る理由は無い」との説が有る
「メロスは何故、走るのか」「セリヌは何故、人質になったのか?」
「王様は、何故に賭けをしたのか?」… それらの「何故」に対し
当時の若手スタッフが答えを出すべく、奮闘したが
この作品を、現在でアマゾンにてDVDを購入できない…
つまり「時代と世代を超えるに失敗」という結果であり
この1992年より、ますます「文芸アニメ」なる物は制作
されなくなる…
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