幸運の椅子

劇場公開日:

解説

帝劇の舞台を写すと共に劇的ストーリイをおりこんだ日映最初の劇映画で製作は第一回の嵯峨善兵、脚本、演出は「いつの日か花咲かん」の原案をした高木俊朗、撮影は栗林実、東熊喜、小林米作の短篇映画界におけるヴェテラン。出演する芸術家はバレー小牧、貝谷バレー団、オペラ藤原歌劇団、ヴァイオリン諏訪根自子、オペレッタ山口淑子らでそれに、沼崎勳、中北千枝子、生方功、若木悦子、河村弘二、谷間小百合らが出演する。

1948年製作/93分/日本
配給:東宝・日映
劇場公開日:1948年2月10日

ストーリー

ある劇場のロビーにいつのころからか「幸運の椅子」があるといい伝えられている。腰かけた人に幸運がくるという。 〔第一話〕土曜日の午後。劇場にはオペラ「カルメン」が上演されていた。一人の娘が約束した時間に現われない恋人をいらいらと待っていた。やっとかけつけた男のべんかいに娘はプリプリして、でも二人は劇場の中へ入った。だが第一幕終了までは入場出来ず、そこへ男の知合いの女が現われ、娘は非常に気分を害して帰ってしまう。男はがっかりしてすわりこんでしまう。それは幸運の椅子だった。その男の前に思いかえした娘がもどって来た。数分の後、二人は手をにぎりあって「カルメン」の舞台に見入っていた。 〔第二話〕舞台では諏訪根自子の独奏ラロのスペイン・シムホニイが奏されている。客席に一見夜の女とわかる二人がいる。一人の女は退屈しているが、もう一人は心を奪われている。休憩時間に一人は帰り、一人は幸運の椅子にかけた。彼女の心に突然大きな変化がおこる。同じ年ごろのヴァイオリニストは最高の人生を生きている。それなのに私は最低の生活にうごめいている。烈しい自己嫌悪に彼女は生活への信仰をとりもどした。 〔第三話〕戦災で田舎と東京と別れて住んでいる舞台美術家志望の背景画家の夫のとこへ疎開先きから妻が用足しにやって来て夫のつとめ先の劇場でやっている音楽劇「ケンタッキー・ホーム」を観に来ている。妻はゆくりなく幸運の椅子にすわる。二人は近々に別居の哀しさから救われるだろう。 〔第四話〕舞台はけんらんなシエラザーデのむせかえる場面である。が、客席に落ちつかぬ男がいる。休憩時間のロビーでも人にあやしまれる。その男が腰をおろしたのが幸運の椅子。途端に場内拡声器がその男の家で赤ン坊が生れたから帰るように報じるのだった。

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