警視庁物語 自供

劇場公開日:

解説

「殺られる前に殺れ」の長谷川公之がオリジナル・シナリオを執筆、「東京丸の内」の小西通雄が監督したシリーズもの。撮影は「昭和侠客伝」の山沢義一。

1964年製作/58分/日本
配給:東映
劇場公開日:1964年1月26日

ストーリー

東京の貧民窟のドブ川から、行李づめの変死体が発見された。ガイ者は四十八、九歳。致命傷は頭部の亀裂骨折、死後一週間と断定された。捜査本部の働きによりガイ者は坂井源三郎で私設馬券売りと判った。刑事の聞きこみの結果、ガイ者は満洲からの引揚者。帰国後は、満洲当時の内縁の妻で、現在は別れている川井里江の家へ時々顔を出していることが判った。里江は、競輪の写真判定場に働く娘の久美子と二人暮し。自分は宝くじの街頭売りをしているが、時々自分を訪ねてくる坂井に不純なものを感じた久美子は、家出したという。一方、死体の入っていた行李を洗っていた班は、その行李が、里江の引揚げ後身を寄せていた北多摩の山本民代の所から出たものであると知った。里江は満洲当時山本の娘民代が勤めていた病院に炊事婦として雇われていたのである。民代は現在東京の病院で外科の婦長をやっている。その民代から意外な事実が割れた--里江は坂井との間に女の子を生んだが、空襲でその子を亡くした。その時、病院の事務長夫妻が一人娘を残して死んだ。その娘が久美子なのだ。折も折、捜査本部に里江が坂井殺しの犯人として自首して来た。里江は年頃を迎えた久美子に、本当の母子ではないと話すのが忍びなかった。それを知った坂井は、たびたび里江を脅かし、小金をせびっていたのだ。その晩も、坂井は里江を脅迫、宝くじの売り上げ金を持っていこうとしたのだった。それをとめる里江ともみあっているうちに、坂井はタタキに頭を打って死んだのだ。殺人事件は過失致死と書きかえられた。翌朝、すべてを知った久美子が、警察にとんできた。里江と久美子は今こそ本当の母子であると感じるのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.5盛り上がりに欠けるストーリー展開なので、ラストのお涙頂戴シーンもの...

2022年8月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

盛り上がりに欠けるストーリー展開なので、ラストのお涙頂戴シーンものめり込めない。
ところで、今回から捜査一課刑事に入った今井健二は、張り切りすぎて周りから浮いてるね。

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Mr. Planty

4.0切なくも愛しいラストが心に沁みる

2022年7月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

東京ゼロメートル地帯の悪臭漂うドブ川から、行李(こうり)詰めの変死体が発見された。被害者が“私設馬券売り”と判り、競馬場、居酒屋、血液銀行へと聞き込み捜査が始まる。「警視庁物語 自供」は製作当時の昭和時代の情景が描写されています。
行李(こうり)は馴染みが無い方も多いでしょうね。竹や柳で編んだ箱形の物入れで、荷物を運搬するのに使いました。今日では衣類の保管などに使用しています。血液銀行での売血シーンが出てきます。血液銀行は、いろいろな血液型の保存血液を集めて貯蔵し、必要に応じて提供する施設。昭和39年に輸血用血液を献血でまかなうことが決定され、5年後の昭和44年に売血は終息しています。
その昔、東京に流れる川にゴミを捨てる人が多く、当映画でも問題提起しています。
川にゴミを捨てる女役で、谷本小代子さん登場。谷本さんは「警視庁物語 追跡七十三時間」で映画デビューし、警視庁物語には12回出演しています。食堂の女子店員(7話)、パン工場の工員(12話)、タバコ屋の女性(15話)、気のふれた女(19話)、川にゴミを捨てる女(23話)など、数秒映る脇役ながら、いつも熱の入った演技が楽しく、作品に欠かせない女優さん。
脚本は警視庁鑑識課に勤務していたした長谷川公之のオリジナル。監督の小西通雄は警視庁物語で「自供」「行方不明」の2本を演出し、水準以上の出来栄えです。後にテレビドラマの演出に主軸を移し「キイハンター」から「Gメン‘75」までの東映アクションドラマの監督を務めました。
メインゲストの本間千代子さんは、子役で特撮TV映画「ナショナルキッド」(昭和35年)に出演していたのを覚えています。青春映画「君たちがいて僕がいた」(昭和39年)などに主演したフレッシュな女優さん。
「警視庁物語 自供」は、戦時中のシーンが丁寧に描かれ、戦争がもたらした母(楠田薫)と娘(本間千代子)の、切なくも愛しいラストが心に沁みるお薦めの映画です。

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papatyan