紅あざみ
劇場公開日:1959年5月8日
解説
「たつまき奉行」の鈴木兵吾の脚本を、「天竜の鴉」の安田公義が監督した娯楽時代劇。「からくり雛人形」の竹村康和が撮影した。
1959年製作/79分/日本
劇場公開日:1959年5月8日
ストーリー
新選組局長・芹沢鴨、組長・伝九郎らは、倒幕の密勅が青蓮院宮へ下ったとの情報を所司代より聞くと、宮の邸へ乱入した。が桂小五郎、宮の侍女・朝香らは脱出、宮の手に勅書はなかった。捕えられた朝香の恋人・吉村らの浪士も、新選組の牢から救い出された。当時、新選組に挑戦して勤王浪士を助ける紅あざみと呼ばれる男の仕業である。紅あざみを追った伝九郎は、怪しい町駕をとがめるが、中には芸妓小春らを連れた公卿仲間の異端者・鷹野中納言がいた。芹沢は紅あざみの後援者が宮中にあると睨み、中納言を買収してそれを内偵密告することを約させた。中納言の奥方・三千代は夫が遊蕩三昧にふけるばかりか、こんな裏切行為まですることを嘆いた。彼女の乳兄弟・織部源之助が新選組に入っていることも嘆きの一つだ。目明し勘吉は、とある家で紅あざみと朝香とが、勅書の隠し場所は宮家の邸内だと語り合うのを目撃した。芹沢らは宮邸を家探ししたが、勅書はすでに片眼の老人に奪われていた。老人を追った伝九郎は、紅あざみの一刀を浴びて、顔に傷を負った。次の日中納言は芹沢らに朝香の隠れ家を告げたが、折から紅あざみの出現に芹沢らは駈け去り、その隙に座敷牢の宮は、縛られた中納言と入れ替っていた。朝香は祇園の料亭へ女中として入った。新選組に発見された吉村が目の前で斬られるのを見ると、思わず駈け寄ろうとしたが、中納言によって固く止められた。朝香は桂に勅書を渡し、京都脱出の方法については、石清水八幡宮勅使参行にまぎれて警戒網を突破するという、紅あざみの計画を伝えた。一方、幕府側でも勅使参行に注目し、副使に鷹野中納言を加えた。が、芹沢は鷹野に疑惑の目を注ぎはじめていた。彼は三千代を捕えさせ、中納言に紅あざみと密勅とを引替えに三千代を返すと挑戦した。当日、新選組の精鋭は勅使の行列を追った。その隙に源之助は、牢内の三千代を救った。源之助は紅あざみの指図で勤王方の密偵をしていたのだ。紅あざみとは、鷹野中納言である。八幡宮境内、新選組はなだれこんだ。能面をとった宮は、中納言だった。激闘数刻、宮たちはじめ一行の脱出は成功した。