「究極の美との心中」炎上(1958) odeoonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
究極の美との心中
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劇中では金閣ではなく「驟閣(しゅうかく)」と呼んでいました、原作・三島由紀夫の「金閣寺」ですが寺側の映画化への反発か三島の許諾が得られなかったかは定かではありませんが名称変更されていました。
1950年(昭和25年)7月2日未明に実際に起きた放火事件は同寺の修業僧である林 承賢(当時21歳)が犯人でやはり吃音だったそうだ。放火したのは、「金閣寺の美しさ」と「自分を取り巻く環境」への嫉妬や反感から犯行に及んだとされているそうだ。自殺未遂や実母の引責自殺、懲役7年の判決が下り収監中に結核と精神状態が悪化し釈放されてのちの1956年(昭和31年)3月7日、26歳で病死したそうで映画の護送中の列車からの飛び降りは原作とも史実とも、ちょっと異なる。
映画では浮気していた母や芸者に入れあげている住職、吃音を揶揄う連中、自己中で女たらしの友人など 誰も解ってくれないと嘆き苦しむ主人公、気持ちは分かるが放火の動機の方はあえて暈しているような気がしました。三島先生をさておいてで恐縮ですが、おじさんの印象では放火は主人公がこよなく愛した究極の美との無理心中だったような気がします。見どころは何といっても豪華出演陣の名演技でしょうね。モノクロのシネスコでしたが普通なら金色に輝く様をカラーで撮るでしょうが市川監督は赤い炎にメラメラと燃える様を取りたく無かったからだそうです、これまた凄い美意識ですね。
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