母(1958)

劇場公開日:

解説

「母つばめ」の笠原良三のオリジナル・シナリオを、「東京の瞳」の田中重雄が監督、「日露戦争勝利の秘史 敵中横断三百里」の高橋通夫が撮影した母性愛映画。主演は「くちづけ(1957)」の三益愛子、「有楽町で逢いましょう」の京マチ子、菅原謙二、「大都会の午前三時」の根上淳、川口浩「東京の瞳」の船越英二など。ほかに、見明凡太朗、小野道子、角梨枝子、川上康子、志村喬、若尾文子、鶴田浩二、三宅邦子、山本富士子らが大挙助演。

1958年製作/111分/日本
劇場公開日:1958年3月5日

ストーリー

戦争中東京で工場を経営していた仙吉は、田舎に疎開したが、終戦にあって、収入の道がとだえ、長男の良太郎が復員してこないせいもあり、すっかり気力を失った。工場の再建も図らず、毎日酒びたりで、妻きよや子供たちを叱りつけてばかりいた。三男の栄三の一寸したいたずらで村八分されて以来、栄三には特につらくあたった。良太郎が復員してき、父に意見したので、仙吉はやっと東京へ戻って工場を建てなおすつもりになった。十年たった。良大郎は弁護士になり、清二は彫刻家、長女咲江は高山家へ嫁ぎ、千代子は舞台に立ち、栄三は大学生になった。父の還暦祝の夜、栄三が贈物を買うのに手間どって遅れると、仙吉はきよのとりなしも聞かず叱りつけた。栄三はそのまま家出し、キャバレーのボーイに住みこんだ。妹のことで町のボス達と喧嘩し、倒れてしまった栄三を、きよと節子が助け出し、栄三の幼な友達節子の父の病院へ入れた。彼が退院して家へ帰った時、家は火に包まれていた。工場経営に憔悴した仙吉が、きよの留守に保険金ほしさから放火したのだ。栄三は父の身代りになって自首して出た。仙吉は病に倒れ、息をひきとるとき、すべてをきよに話した。きよからそれを聞いた良太郎は、そのまま握りつぶした。一年後、出所した栄三はきよに迎えられ、良太郎の家に引き取られた。が、兄の冷いしうちに家を去り、節子の叔父伊集院のもとで、漁業にいそしんだ。栄三からの送金は、良太郎が着服し、母の手にはとどかず、しかも夫婦はきよにつらくあたる。きよは家を出、清二の家に移り、そこでもジャマにされ、咲江の家へ移ると、その貧しさに心苦しくなり、またあてどなく立去った。彼女は公園のベンチに坐り、やさしい栄三のことを想った。きよが住みこんだ食堂は、節子が女医として働く工場のものだった。節子は偶然きよに出会い、それを栄三に知らせた。彼はすぐさま帰京し、その足で都議選に出た兄の演説会場へ行き、兄の無責任を責めた。彼を引っぱって母のところに行こうとした。が、途中で思い止り、母のところへ駈けつける。今は心を改めた良太郎や一家全部と節子らが揃って、丘の上の墓地へ詣でた。長兄は母を背負い、皆は和やかに笑った。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.5三益愛子の母もの映画

2020年4月28日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

当たり障りのない母もの映画。父と息子の断絶の関係が「エデンの東」に似ていて面白い。耐え忍ぶ母の姿が日本的。だがラストが甘い。

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Gustav