「遊郭もの」「廓」より 無法一代 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
遊郭もの
クリックして本文を読む
日本映画には“遊郭もの”という独特のジャンルがある。溝口健二『赤線地帯』、稲垣浩『女体は哀しく』、田坂具隆『五番町夕霧楼』などの秀作があり、この映画もその一つに数えられるらしい。
「廓というものはわが国社会の醜さの結晶である」というオープニングテロップ。軍隊時代に貧乏人というだけで上等兵に友人を殺された経験を持つ貫太(三橋)。お銀(新珠)は士族の出だったが、貫太の考えについていき、自分が踏み台にされるなら、不幸な若い娘を踏み台にしてでも金持ちになろうとしていた。
娼妓の健診、廓の組合など当時の様子をリアルに描き、役者の芳三(宍戸錠)が貫銀楼の松奴(鏑木はるな)を足抜けさせた件でヤクザに掛け合う貫太。戦争で死んだはずの身だとして、一人乗り込む姿は勇ましい。
遊女を助けるための救世軍を名乗る男が検番に捕まり、警察が乗り込んでくるが、これを「大将になる機会」だとして、暴行を働いたのは貫太一人だと名乗り出る。やがて救世軍が日本軍に活動を禁じられ、貫太は無罪放免出所し、廓の中でも顔役になっていく。そんな折、初心な菊奴(芦川)が妊娠したことが判明。馴染みの客に言い寄るものの、精神的にまいってしまい自殺してしまう。
最初は社会派の様子も呈していたし、菊奴の死によって泣かせる要素もあったのだが、最後にはハッピーエンドで、男の成功物語となっている。途中までよかったのに残念・・・エンドテロップと内容が合致しない感あり(笑)。
コメントする