恋と金
劇場公開日:1956年1月22日
解説
中野実原作の『谷底は花ざかり』を「新妻の寝ごと」の木村恵吾が脚色し、「見合い旅行」のコンビ枝川弘が監督、秋野友宏が撮影を担当した。主なる出演者は「新妻の寝ごと」の根上淳、「新・平家物語 義仲をめぐる三人の女」の山本富士子、見明凡太朗、「北海の叛乱」の上原謙、「いろは囃子」の山根寿子、「電光空手打ち」の山形勲、「薔薇の絋道館」の潮万太郎など。
1956年製作/79分/日本
原題または英題:The Buried Treasure
劇場公開日:1956年1月22日
ストーリー
辺鄙な山奥の鉱泉旅館河田屋には、三十一歳になる独身の女主人ゆきと女中おいくの二人しかいない。ある日、ゆきが猪撃ちから戻ると珍しく泊り客がたてこんでいて、ゆきに縁談を持って来た伯母おたみなど相手にされない忙しさ。泊り客というのは、到着早々シャベルを担いで出かける北原、都築の二人組、作家と自称する藤堂とお供の島崎、三人だけの旅役者一座、妙に沈んだ若い矢沢夫婦、それに地方回りの化粧品宣伝嬢椎名ひとみと山本晴子たちで、ゆきとおいくだけでは到底手が足りないとみて、ひとみは気さくに手伝ってやるのだった。その夜、トランクを提げた藤堂と島崎が闇に消えたのと入れちがいに、ミシンのセールスマン橋本と三人の学生が着いた。橋本は恋人のひとみを追って来たらしい。翌朝、駐在の尾関巡査が来て矢沢夫婦の保護願いが出ていると告げるが、その頃当の心中未遂夫婦は滝の近くで金塊入りのトランクを発見し、これで死なずにすむとうれし涙にくれていた。戦時中の海軍の隠退蔵物資で、前から噂のあったものだが、これがきっかけとなって村中が総出で山を掘り返す騒ぎになった。そんな最中、ひとみはふとしたことから、ゆきが父の恋人だと知った。そこへまた一人の客が現れた。旧海軍の部隊長椎名亘でひとみの父親、つまりゆきの恋人である。かくて藤堂と島崎は密輸団の一味で、密輸品の処分に来ていたこと、人々の見つけた金塊入りのトランクは彼らが隠したものだと判って、村中を騒がせた金塊事件もあっけなくケリがついた。最後に亘とゆき、橋本とひとみが目出たく結ばれたことをつけ加えなければなるまい。