花咲く我が家
劇場公開日:1952年11月6日
解説
井原敏の原作を「お嬢さん社長と丁稚課長」の津路嘉郎が脚色し、新人の野崎正郎が監督した松竹大船作品。製作は「東京騎士伝」の田岡敬一。「湯の町しぐれ」の井上晴二が撮影に当っている。「鳩」の北龍二、「新婚の夢」の大坂志郎をはじめ「お嬢さん社長と丁稚課長」の増田順二、「東京騎士伝」の坪内美子、「母は叫び泣く」の東谷暎子が出演する。
1952年製作/65分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1952年11月6日
ストーリー
勤続三十念、機関庫の主のような老合図手森川兼吉は、苦しい中から大学を出し、今は技師として××隊道工事の第二工事区長を勤める長男信一から久方ぶりの帰宅のしらせを受ける。心も明るく、同じ職場に働く熔接工、次男の正二に喜びを伝えにゆくが、正二の表情はつめたかった。夜、兼吉夫婦、信一、その妻あき子、電話交換手の末娘和子、と一家揃っての楽しい団欒に姿を見せず、やがて気忙しく信一の去った後、酒気を帯びて帰宅した正二を、兼吉は詰らずにいられなかった。兄のように学校を出してもらえなかったひがみ。--正二は父と衝突し、盛り場の料理店主、叔父の松造の許へ走った。あき子の説得もかいなく、彼は自棄の日を送る。そんな或る日、××隊道工事現場に落盤事故が突発し、信一は生埋めとなった。和子の注進からそれを知った正二は、現在の行状を悔い、脱ぎ去った鉄道制服を再び着て、現場へ急いだ。救出作業に自分の技術が必要なのを知った彼は、危険を冒して単身坑内に入り、障害の鉄骨を焼き切った。救けられる兄、救ける弟。--二人は思わず手をとり合った。一家に明るい空気が立戻り、三十年勤続の父とともに、正二が人命救助で表彰される日も近いのだった。