別離の歌
劇場公開日:1960年5月10日
解説
「デン助の やりくり親父」の新井一の脚本を、「黒い花びら」の瑞穂春海が監督した青春もの。撮影も同じく「黒い花びら」の杉本正二郎。
1960年製作/93分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1960年5月10日
ストーリー
中原弘は西北大学拳闘部の主将だ。身寄りがなく、アルバイトをしながら仲間の大沢と共同生活をしている。隣室の、バーの女給朱実が弘の世話をやいた。が彼は先日雷族にからかわれているところを助けてやった由紀をひそかに思っていた。ある日、外苑で練習中、大沢が足をくじいた。そのことがキッカケで、弘は由紀に再会した。大沢を病院に運んだ後、二人はドライブに出かけた。城南大に勝った夜、由紀の誕生日のパーティに招ばれた。その席に野本が来ていた。彼は弘の先輩で、由紀とは幼ななじみだった。パーティには城南大の学生も来ていて、弘に嫌がらせをした。由紀は弘に嫌な思いをさせたことが心苦しく、ナイトクラブに誘った。二人は踊った。由紀は両親から野本との結婚話を持ちかけられた。申し出をこばむ彼女の心の中には、弘の姿があった。野本が怪我をした。由紀が見舞った。野本は「君を愛してきたがもう元の体には返らない。結婚話はないことにしてもらう」と言った。由紀の心は乱れた。日曜日、由紀は求愛する弘に、野本と結婚すると告げた。恋の痛手が弘をプロに追いやった。朱実が前よりもいっそう世話をやいた。弘は東洋選手権に挑戦することになった。一方、由紀は野本と新婚家庭をきずいたが、野本の仕事に悪徳業者が入った。野本がヤクザにひっぱられた。由紀から聞いた弘が駈けつけ、ヤクザを倒した。しかし、右手に弾を受け、選手権試合は断念せざるを得なかった。野本がアメリカに栄転することになった。野本と由紀は飛行機のタラップを上る。二人を見送る弘の目には涙が光っていた。それは、弘にとって青春への訣別であったのだ。