女浮世風呂
劇場公開日:1968年7月10日
解説
「男の掟」の山崎巌がシナリオを執筆し、「残侠無情」の井田探が監督した怪談もの。撮影は新人の岩崎秀光。
1968年製作/88分/日本
原題または英題:Tokyo Bath Harem
配給:日活
劇場公開日:1968年7月10日
ストーリー
五代将軍綱吉の治世。士農工商の身分制度の下で、江戸の町人たちは浮世風呂に娯楽を求めていた。そこでは湯女たちが男の身体を洗い、夜には二階座敷で男たちに肉体を与えていた。江戸のあちこちで若い娘たちが次々に神隠しにあうという事件が起った。とよ、なつ、ひで、初江たらはその犠牲者だった。この事件の背後に寺社奉行藤枝外記がいた。外記は金貸しの大和屋、回漕問屋の備前屋たちと計り、湯女たちをオランダからの密輸品の代償として外国へ売りとばしていたのだ。素人娘たちが神隠しにあったのは、外記らが湯女の補充のためにさらっていったのだった。一方、大和屋はオランダ女のクリスティーナを藤枝に献上し、密輸の便宜を得ていたのだ。そのころ、柳小路の長屋では行方不明になった初江を探して、遊び人の新三、大工の太吉らが動き出していた。新三はある日、浮世風呂で素人娘らしい湯女を見て怪しんだ。太吉と一芝居打って大騒ぎを起し、そのすきに湯女にされていたしゅんを助け出し、藤枝らの企みの一部始終を聞き出したのだった。実は新三は幕府目付役の下で働く、隠密だったのだ。新三は地下牢に閉じ込められていた初江たちを助け出したが、身の危険を感じた藤枝は江戸城大奥の女中初瀬を自分のものにして、将軍への嘆願を求めたのだ。一方、新三は大和屋、備前屋を一網打尽にしようと捕手たちに囲ませたが、抵抗する一味とすさまじい斬りあいになった。しかし、結局、悪徳商人たちは縄についたのだが、藤枝は初瀬のとりなしで、お役御免だけで済んでしまった。くやしがる新三たち。しかしこのことがあってから、江戸の浮世風呂は男女混浴を禁止されたのである。身分制度に縛られた庶民たちの、ただ一つの憂さの晴らしどころであった、浮世風呂にまつわる、江戸の市井の色と欲と政道の腐敗にまつわる事件は、こうして落着した。