「単なる歌謡曲映画とあなどるなかれ」二人の銀座 ごいんきょさんの映画レビュー(感想・評価)
単なる歌謡曲映画とあなどるなかれ
山内賢の訃報を聞いたのは数年前のことになるだろうか。私が中学生ぐらいのころの憧れのお兄さんで、「二人の銀座」が大ヒットした。相方の和泉雅子さんの歌も好きだったが、彼女は後に北極点を目指す探検家に変身してしまい昔の面影がなくなった。そのころしか知らない人には分からないかもしれないが、日活時代は本当にきれいな女優さんだった。もちろん二人のレコードは今もどこかに残っているはずである。聞くことはできないのだけれど。
ところで、映画はその二人の大ヒット曲「二人の銀座」の映画化である。当時よくあったヒット曲を題名にした歌謡曲映画かと思って見たが、実際そのとおりなんだけれど、予想以上に面白かった。歌謡曲映画の定石通り当時の歌手が大勢登場し、彼らのヒット曲も流れる。尾藤イサオ、ブルーコメッツ、ビレッジシンガーズ。歌もしっかり聞かせてくれるからそれだけでも満足できるんだけれども、映画の中身も思った以上に良くて、はじめは時代のギャップを笑いながら見ていたのだが、どんどん画面に引きずり込まれてしっかりと見てしまった。お約束通りの歌謡曲映画でありながら、十分主題もストーリーも練られていて、画面も引き締まっている。当時のプログラムピクチャーを支えた映画人たちの実力を感じる1本である。
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