横堀川のレビュー・感想・評価
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金は貯めるもんか、つかうもんか。どっちがほんまですやろかいな。
こういう大店のダメ若旦那は、大阪商人のデフォルトなんだろうかと思わせるものがある。文楽なんかだと、ほぼどの作品にもあかんたれのぼんぼんがでてきて、じれったくなる。実生活でそんな奴おるんか?って言いたくなるけど、ちょっとはいるんだろうなあ。ちょっとくらいならいいけど、こんなんばっかりやったら町の経済は回るんかいなって気が揉める。
ま、そんな心配はどうでもいいです。そういう若旦さんには、多加のようなしっかり者の嫁さんが来ることになってる。そしてそんな苦労人のことは必ず誰かが手を貸してくれる。倍賞千恵子、愚痴も言わず、亭主の遊びにも懐深く、しっかり頼りになる細腕繁盛記だな。
松鶴(4代目?)が、得意ネタ「天王寺詣り」を質草したって話は面白い。事実なのだかどうなのだか。
本作を通じて上方演芸の歴史と萌芽の知見を得れるのも良いですね。
神保町シアターさんでの特集企画『生誕百年記念 小説家・山崎豊子 華麗なる映画たち』も2週目。本日は『不毛地帯』(1976)、『横堀川』(1966)の2本を鑑賞。
『横堀川』(1966)
それぞれ映画化された山崎豊子氏原作の『暖簾』(1958)『花のれん』(1959)『ぼんち』(1960)で描かれた大阪船場を舞台にした商人の人情悲喜劇の持ち味を一つの作品に紡いだ細腕繁盛記作品。中でも寄席小屋の経営で奮闘した吉本興業の創業者・吉本せい氏のモデルにした『花のれん』を下地にしてましたね。
主演は倍賞千恵子氏。『男はつらいよ』のさくら役同様にイメージ通りに明るく快活で淑やか演じてます。
放蕩三昧の旦那役は二代目中村鴈治郎氏のご子息、中村玉緒氏のご令兄でもある二代目中村扇雀氏が、これまた女と金にだらしない旦那を実に愛敬よく演じてますね。
意地なのか、甲斐性なのか、ここまで旦那に添い遂げようとする主人公の気持ちは分りかねますが、本作を通じて上方演芸の歴史と萌芽の知見を得れるのも良いですね。
NHKドラマの映画化
山崎豊子原作となっているが、NHKドラマを書いた茂木草介版を映画にしたらしい。
主人公は「花のれん」と同じで、倍賞千恵子が初々しく演じている。
頼りない若旦那のもとに嫁いだこいさんが、夫の浮気や賭け事に悩みながら、寄席のチェーンを経営するまでになる。
脇を固める小沢昭一や浪花千栄子が素晴らしい。
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