「山崎豊子にハズレなし」横堀川 ろーけんさんの映画レビュー(感想・評価)
山崎豊子にハズレなし
原作者も脚本家だと考えると、日本一の脚本家は山崎豊子・・それは言い過ぎか・・。それにしても、全部面白いのはすごいね。原作はちんたらちんたらとどうでもいいような部分が詳細に書かれていて読んでらいれないけど、映画はみんな面白い。そして、この映画ときたらどうだ!普通の映画みたいなクライマックスがあってとかピンチに陥って・・とかそんなんじゃなく。押し寄せる波をいくつか乗り切る、みたいな感じの大河ドラマ凝縮版でありながら、これほどジーンとくるなんて。旦那がアレであるがゆえに尚更、「生きていく」というテーマが輝いて見えたように思った。
と、いうか・・原作者よりも、やはり監督や脚本家や。女優の倍賞千恵子が偉大なのかな。これがもし倍賞千恵子でなかったら、傑作になったであろうか・・いや、最後まで見ることができたであろうか?
ついでに写真の話もすると実にクオリティが高い。特に前半部分は素晴らしい照明があたっていて。これならハリウッドとでも充分と張り合えるレベルの撮影ができている。このころ、日本映画がまだ生きていたね。私がこの映画でハッとなった部分は汽車が走るシーンだな。それまでずっと家の中のシーンが多く、外へ出ても町の中がごちゃごちゃしていて全くもって開放感がなかった所へあそこで突然平野に出て。それはとても効果的だった。それにしてもヤケにいい写真だったなぁと思って調べてみたら・・ああ、小津安二郎お気に入りの・・なるほど。この素晴らしいカメラレンズが今なくなろうとしているのはとても残念なことだな。
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