あの娘に幸福を

劇場公開日:

解説

「暗黒街の牙」の小川英が脚本を執筆、「豚と金魚」の川崎徹広が監督した純愛ドラマ。撮影は「ニッポン無責任野郎」の飯村正。

1963年製作/85分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1963年5月15日

ストーリー

旋盤工の津田弘が朝倉紀子と初めて逢ったのはクリスマス・イヴの晩だった。喧嘩をして追われ、逃げ込んだ路地の喫茶店の窓越しに二人は顔を合わせた。お互の胸に清潔な印象が刻まれ、数日後偶然の再会から二人の交際が始まった。弘は可愛がっていた鳩を贈り、紀子との連絡はその鳩が運んだ。紀子は朝倉物産社長の敬太郎の一人娘だが、心臓病のため寂しい青春を過していた。弘と知り合って淡い恋心を抱くが、両親は紀子の体に刺激を与えては良くないと、弘に逢いに来ないでくれと頼んだ。呼出しがあっても逢いに行けなくなった弘は苦しんだ揚句、九州で再出発する決心をした。事情を知らずに便りのないのを悲しんでいた紀子は、弘の姉のとよ子から一切を聞き両親の薦める伊豆の別荘へ向かわざるを得なかった。いよいよ弘が旅立つ日、傷心の彼の前に雨に打たれた紀子が突然現われた。伊豆に行ったが思い切れずに別荘を抜け出し、弘に逢いに駆けつけた彼女はそのまま崩れ折れた。無理が祟って病状が悪化したのだ。「もう決して離さない」と誓ったのに、紀子は迎えに来た敏太郎に連れられて入院した。数日後、見舞にも行けず一人気を揉んでいた弘は敬太郎の訪問を受けた。紀子の容態が急変して、手術を受けることになり、ぎりぎりの所まで追い込まれた敬太郎は、同じ気持の人間に逢いたくなったのだ。命を賭けた手術を終え、回復室に入った紀子の安全を敬太郎と弘は人気のない廊下で祈った。いつのまにか眠りに落ちた弘は、数分後の紀子の死も知らず元気になった紀子と手を取り合い夢の野原を駆けめぐっていた。

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