劇場公開日 1961年9月6日

女ばかりの夜のレビュー・感想・評価

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3.5タイトルなし

2024年12月11日
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神保町シアター田中絹代特集にて鑑賞。
出演作ではなく、6作中5作目の監督作品になります。
良く言えば明解。
悪く言えば大味な作風。
しかし、最後まで飽きずに観る事が出来ます。
映画作りを頭ではなく身体に叩き込まれた人の演出なのでは。
ヒロインは売春防止法によって更生施設に収容させられた女達。
戦後の混沌とした時代ではなく、生きるためというより、ずるずると自堕落な生活から抜けられないという感じ。
売春という行為は女性が自らの性に依存する事なのだと良く解る作品です。
彼女達が女という性に依存する時、それは自分を蔑んできた男達より優位に立てる時です。
その高揚感と開放感は生きている実感でさえあったのかも。
「何がいけないのよ」と叫んでも答えは出ない。
しかし依存症が病である限り、心と身体は必ず蝕まれていく。
「どうしてあんな事してたのかしら?」
気持ちのいいある朝、ヒロインがふとつぶやく言葉こそ依存症からの回復の真髄です。
女達の再生の物語の中に、アディクションという現代病の蔓延を見抜いていたのだとしたら!
田中監督の先見の明は凄いです。
また、出演者達には後のお茶の間の顔がズラリ。
監督の女優を見る目も冴え渡っています。
演技指導はかなり厳しかったと聞きます。
原知佐子が後に田中絹代の再来ともいえる山口百恵を(ドラマの中で)イビリ倒していたのには深い理由が…ある理由ありません。

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こうた