伊豆の踊子(1974)のレビュー・感想・評価
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青春時代を懐かしむ
当時人気絶頂の山口百恵が(演技は下手だが)輝いている。1万人の公募から選ばれたという三浦友和が初々しくてとても良い。共演の佐藤友美が美しい。母親役の一の宮あつ子や義理の兄役の中山仁という手練の役者が脇を固めていて、それなりに体裁よく仕上がっている。
しかし映画作品としては二流かも知れない。
多忙な山口百恵のスケジュールに合わせた撮影だったせいか、場面のつながりが妙にギクシャクしているところがある。
原作にはない社会派的なエピソードが挿入されているのも気に入らない。映像美などもっと文芸作品としての質を追求した演出としても良かったのではないか。
特に最後の場面で、茶屋の婆さんの言葉が繰り返されたり、踊り子が酔客に絡まれている画でストップモーションになるのは、その後の踊り子の人生を暗示させようとしたのだろうけれども、甘い感傷に浸りたい観客は不快に感じたと思う。
あと、人物の顔がアップになる時とき、紗がかかったような画面になるのもどうなんだろう。山口百恵の肌がよほど荒れていたのだろうか。
公開当時私は18歳であったが、この作品は映画館では観ていない。翌年の『潮騒』はスクリーンで観た。確か、桜田淳子の『スプーン一杯の幸せ』と併映だった。
まあ、青春の思い出を懐かしむ縁にはなったかなと思う。
山口百恵の笑顔にヤラれる
山口百恵主演・文芸路線シリーズ第1弾。
Amazon Prime Videoで鑑賞(レンタル)。
原作(伊豆の踊子,温泉宿)は既読。
吉永小百合版と撮り方がかなり似ていたので確かめたら、監督が同じで、所謂セルフリメイク作であると知りました。
山口百恵の過密スケジュールにより急ぎ足の製作で、予算も吉永版と比べ低かったからか全体的に少しやっつけ感が…
ラストがぶつ切りだし、消化不良なのは否めません。吉永版のようなロケーションの良さも感じられませんでした。
しかしながら、山口百恵が初演技とは思えぬ存在感を放っていて驚きました。それが本作の骨となり、アイドル映画ではあるものの、アイドル映画の枠に収まらない格調を確保している要因のひとつになっている気がしました。さすがスターだな、と…。山口百恵の薫には、吉永小百合の薫とはまた違うかわいさがあり、彼女の笑顔に魅了されてしまいました。
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