怒れ毒蛇 目撃者を消せのレビュー・感想・評価
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殺人事件と空手とカンフー娯楽作
シネマヴェーラ渋谷(井上梅次監督特集)にて鑑賞。
コブラ刑事の異名を持つ男(田宮二郎)が、殺人事件の目撃者を殺そうとするワル達から目撃者の女性(奈良富士子)を守りながら、ワルの助っ人の香港カンフー女(!)や日本の空手男とバトルを繰り広げる娯楽作。
コブラ刑事が、やたらと空手が強くて、映画館は爆笑の渦…(笑)
しかし、このコブラ刑事(デカ)の本編での名前が[小村(コムラ)]……笑える(^^)
そして、刑事なのに車の運転が荒く、スピード違反や蛇行運転は、し放題。白バイに止められても、コブラ刑事はスッと[デカ証明書]を見せるとオッケー!
若い時に好きだった女性(山本陽子)にはキス止まり。…山本陽子、綺麗!
目撃者女性を守っている時には、目撃者をおとりにして自分の恩人(山本陽子の父親=警官)を殺した男を呼び寄せようとする。ただ、目撃者女性が(一見つっけんどんな)田宮二郎に惚れるので、二人はキスをする。すると田宮二郎はアッサリと目撃者の元を離れようとするので、女が「なぜ、貴方はキスしてすぐに行っちゃうの?」的な質問をすると、コブラ刑事は「男と女のなりゆき」との一言も笑っちゃう雰囲気だった。
この映画、やたらとカンフー映画っぽくて、台湾映画界の巨匠キン・フー監督の『侠女』などの作品群に観られるようなワイヤー・アクションも見られた。
キン・フー監督の映画から…と言うよりは、本作は1974年の松竹映画なので、1973年に公開されたブルース・リーの『燃えよドラゴン』などのヒットを受けて作られた映画なのかも知れない。
なかなか見られない快作であったが、カラー映画でフィルム状態も良く、とっても楽しい映画であった。
わけのわからぬ刑事アクションを作ってしまった
香港カンフーアクションが流行りし頃、影響を受けてしまい、わけのわからぬ刑事アクションを作ってしまった・・・といった映画。また、主人公キャラの設定ではゴルゴ13もイメージしたのだろうか、髪型がゴルゴしてる田宮二郎。
普通に証人保護のためにマリ子(奈良)を守る目的で進むストーリーではない。型破りな刑事そのものであり、独自の捜査によって真犯人の核心に迫りながらも、マリ子を囮にして幼少の頃からの宿敵でもあり、養父の仇でもある北一平(カオチャン)に復讐しようという男なのだ。また、裏組織をつぶされた恨みを持つ台湾女殺し屋(汪萍)もコブラを付け狙う・・・が、あっさりマリ子殺害に失敗し、コブラに撃たれてしまう。
人間関係において、コブラはもともと孤児であり、警察官である養父に引き取られ、美代子(山本)とは一つ屋根の下暮らしてきたのだ。しかし、くちづけを交わしただけの関係に留まり、彼女は検事の赤木(中丸忠雄)と結婚してしまってる。赤木検事とは犬猿の仲でもあるコブラは、無謀な捜査があったため今回の事件から下されてしまうのだった。冒頭のシーンではコールガールとセックスしていたコブラだが、時折「美代子」などと呼んだり、コールガールの顔に山本陽子の顔をフラッシュバックさせるものだから、いきなりのヌードに焦ってしまったぞ。
さて、結局は『キイハンター』もどきの単なるアクション映画の印象しかないが、脚本の粗も目立つし、印刷工場で電話をかけまくるバカさ加減などおかしいシーンも盛沢山。また、終盤の病院においての北一平との攻防はコメディとしか思えないほど・・・緊迫感を出そうとそれなりの工夫はあったが。空手対決はすぐに裸になりたがる香港製とは違い、スーツ姿のままで。そして、どうしても仮面ライダーの変身ポーズやライダーチョップにしか見えない田宮二郎。何の影響受けてんだか・・・もしや、ヤクザ役に出ていた森次晃嗣(ウルトラセブン)の影響か??
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