「宇宙での戦争を描いた作品史上、 最も優雅な逸品のひとつ」銀河英雄伝説 わが征くは星の大海 asukari-yさんの映画レビュー(感想・評価)
宇宙での戦争を描いた作品史上、 最も優雅な逸品のひとつ
クラシック音楽をBGMに、数多の戦艦同士が宇宙を舞台にして戦いが繰り広げられる・・・。その劇画タッチが合いなって、戦争映画にもかかわらず“優雅さ”を感じずにはいられない。ワイン片手にゆっくりと飲みながら鑑賞する、それが本作「銀河英雄伝説」の印象です。
ストーリーとしては、はるか遠い未来、人類は専制政治を敷く「銀河帝国」と民主主義を掲げる「自由惑星同盟」の2グループに分かれ、150年近く宇宙で戦争を繰り広げていた。終わりの見えない戦いの中、今回はレグニツァの惑星上空にて両軍が激突する。その中には銀河帝国の若き大将:ラインハルト・フォン・ミューゼルと自由惑星同盟の若き准将:ヤン・ウェンリーがいた。後に英雄と称される2人が同じ戦場で戦った最初の戦いである・・・というもの。
元々は後のOVA発売のためのプロモーションとして作られ劇場公開された本作。そのため物語としては、ほんの取っ掛かりでしかない。尺も60分と短め。しかし、それだけでも
世界観とキャラクターの存在感は、ちょい役までもが十分な光を放っている。
それも、歴史と戦争のジャンルが好きな人ほどハマるのではないだろうか?見てて思う。ただの戦争映画ではない。両国における“政治の腐敗した部分”が見え隠れしている。これがブルーチーズのようなアクセントとなり、癖になってしまう。
過去にも現代にもありえそうな(ありえた)ことを描いている。
ここが面白い!ただのアクション、フィクションに終わらない、濃密な描き方にハマってしまう。そういう意味では“大人な作品”になるだろう。
惜しむらくは、これが“取っ掛かりの作品”ということ。物足りなさは承知。この先を観るならOVAを観るしかない。しかし、これにハマったなら、OVAなんてあっという間に観れると思います。