嗚呼!おんなたち 猥歌のレビュー・感想・評価
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俺と別れた方がハッピーになるさ
『追悼 内田裕也 スクリーン上のロックンロール』の特集上映にて鑑賞。いわゆる日活ロマンポルノの作品だが、内田裕也の破天荒さ無軌道っぷりをそのままスクリーンに模した内容である。基本的にはポルノなのだが今の基準で言えば決して激しくはない。裸で抱き合ってセックスするなんてレベルでは現行R15レベルでも普通に演出されている範囲である。とにかく内田裕也のいわゆる“ロックンロール魂”?を全開させて、今では決して描けない女性蔑視の時代を謳歌している。一応基本軸は、一人の男を好きになった二人の女がライバル心剥き出しにキャットファイトの応酬を繰広げるが、その置かれている立場の同等に段々と奇妙な友情を覚え、その先にお互いを慰め合うかのように肉体関係に発展していき、最終的に男の存在に気を掛けなくなる。しかし、二人の女の内、ソープ嬢は客に殺され、もう一人の女はせっかく男との子を身籠ったのに、女に操を立てて堕胎してしまう。男も又そんな荒んだ生活そして女性に対する数々の暴行に対しての贖罪なのか、驚愕のオチへと辿り着く。その先は女性専用ソープランド。ラストの内田のソープテクニックはきちんと中盤のソープ嬢への前技を踏襲していて伏線回収という訳である。
とにかく全編通じて常軌を逸した劇画コミックの男のストーリー展開であり、サブ的には安岡力也の舎弟役の堂の入り方や、奥さんとの間柄を疑われた男を安心させる為、わざと女をつくりそして男に貢ぐ狡猾さ、しかし女の方が暴行罪で訴えるという上手で簡単に計画が崩れるという情けないオチも、馬鹿馬鹿しく面白い。男の取るに足りないプライドや悲哀を単純化してみせた“小話”としては楽しく鑑賞できた。時代もあるのだが、あれだけ女性がハスッパで誰にでも分るスケ番的口調や演技にノスタルジーを覚えずにはいられない。懐かしさやその時代の泥臭さ下品さ、粗野だがしかし正直さと無骨さを、劇中に何度もインサートされるローリングストーン誌のジョン・レノン&オノヨーコのフォトグラフィーに落とし込んで“メイクラブ”を高らかに宣言しているテーマも含まれているのであろう。ちなみに、その写真撮影の同日にジョンは射殺されてしまうのだが・・・ 男も女も時代をがむしゃらに生きていた汗臭い作品である。
内田裕也
これは内田裕也の自伝的作品じゃないのか?と思ってしまうほど真に迫る演技。ヤケクソ気味にドサ回りし、あちこちでケンカ沙汰になってしまう。
強烈なインパクトを与えてくれる内田と、ロクデナシ、破天荒ぶりはどうやって脚本化したのだろうかと考えさせられる。特にコンサート。尻は出すわ、あそこは出すわ、挙句のはてに最前列の女にチン子を咥えさせるなんて(笑)
ストーリー的にはどんどんテンションが下がっていくはずなのに、マネージャーの安岡力也の彼女にまで手をかけてしまうところに、狂気さえ覚えてしまう。女との最初の関係はレイプになってることが多いことも、荒んだ世の中を象徴していたのかもしれない・・・
演技というか、リアルすぎて怖いほどの男。もうちょっとドキュメンタリーぽくすれば、さらに凄い作品になったのかも・・
とてもよかった
内田裕也が破滅型のロックシンガーを演じる。パフォーマンスはミック・ジャガーっぽかった。冒頭でアナーキーのライブも見れる。
ラスト、内田裕也の通り魔的行為に好意的な目線を感じた。やられた方はたまったものではないがそうしたくなる気持ちには充分な説得力があった。手当たり次第女の子に手を出し、ほぼ全員を不幸にしているのだが、それだけの魅力がある。このようなむき出しの人間性を表現することが憚られるような時代になっているので今見ることに意味を感じた。
安岡力也が健気でかわいらしかった。
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