海のつわもの
解説
「沐浴」「巴里の暗黒街」のマルセル・シャンタル、「みどりの園」「最後の戦闘機」のジャン・ピエール・オーモン、「戦いの前夜」のヴィクトル・フランサンの三人が主演する映画で、「女だけの都」「我等の仲間」のシャルル・スパーク原作の小説によって「かりそめの幸福」「戦いの前夜」のマルセル・レルビエが脚色監督し、「商船テナシチー」「最後の戦闘機」のアルマン・ティラールとルイ・ネが協同撮影した。助演者は「みどりの園」のローラン・トゥータン、「南方飛行」のジャック・ボーメー、「最後の戦闘機」のギイ・スルウ、ピエール・ポンセエ等である。音楽はミシェル・レヴィーンとシャニオンが編曲している。なお「戦いの前夜」のエヴ・フランシス、「かりそめの幸福」出演のジャック・カトラン、アンドレ・アレクサンドルの三人が助監督を勤めている。
1935年製作/フランス
原題または英題:La Porte de Large
ストーリー
風光明媚なブレストに聳え立つ海軍兵学校。ピエール・ヴィレット、パイヤール、サンティヴリイヌ、ピヴェールの四人は室を同じくして勉学にいそしんでいた。ある日兵学校に新たな校長が来任した。それはピエールの父親ヴィレット司令官であった。親子は久々の対面をした。父は十二年前に妻に死なれ、淋しい海上生活を続けていたが、近く若く美しいマドレーヌ・ルヴェルと再婚する事になっていた。マドレーヌは有名な女流ヨット選手で、ヴィレットと結婚する為にアメリカにいる夫と離婚を済まし、ヨット「オーロラ号」でフランスへ帰った。ピエールやパイヤール達が港内で信号演習をしている時、風を孕んで滑る軽快なヨットに美しい婦人が乗っているのを見た。日曜日に彼等はヨットに近づき、わざと海中に飛び込んでマドレーヌのヨットに救われた。ピエールは彼女の美しさに心を奪われてしまった。数日して兵学校ではピエール達の進級祝いがあった。幾多の来賓の中にはマドレーヌの艶かな姿も見えた。その夜ピエールは明日の晩マドレーヌを訪れさせてくれと無理にせがんで許しを得た。だがそのあとで彼女はピエールがヴィレットの息子である事を父親の口から聞いた。翌晩訪れたピエールにマドレーヌは、自分には愛人がある事、その名はその人自身が言いますと、強く言い切って彼を帰した。兵学校では始めての夜間飛行をやる事になった。操縦者はパイヤールであったが彼は少し悪戯が過ぎて禁足に処せられていたのでピエールが代わる事になった。その夜ヴィレットは息子と食事を共にしマドレーヌが自分の婚約者である事を打ち明けた。ピエールが飛行場に駈けつけると、禁足の命を犯したパイヤールが来て無理に代わって出発した。しかし深夜に荒天となり飛行機は荒波の真只中へ不時着水した。信号を受けたヴィレットは単身、機を操って救助に出たが不幸重傷を負い辛うじて帰還した。この椿事でピエールがパイヤールに代わって貰った事が判って軍法会議に附せられた。辛うじて漁船に助けられたパイヤールはピエールの為に有利な証言をしたので罪は一月の禁足で済んだが、ピエールは父に退学届を差し出した。父はマドレーヌにそれを手渡して息子に父を裏切る様な行為が無かったら、之を破って呉れと頼んだ。勿論それはマドレーヌの手に依って破られ、間もなく遠洋航海に出発する練習艦の甲板に雄々しいピエールの姿があった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- マルセル・レルビエ
- 脚色
- マルセル・レルビエ
- 原作
- シャルル・スパーク
- 製作
- サイモン・シフレン
- 撮影
- アルマン・ティラール
- ルイ・ネ
- 美術
- ギイ・ド・ガスチーヌ
- 編曲
- ミシェル・ミシェレット
- シャニオン
- 助監督
- エブ・フランシス
- ジャック・カトラン
- アンドレ・アレクサンドル