カルメン狂想曲

解説

「ワルツ合戦」「カイロの結婚」のレナーテ・ミュラー、「青い木の実」のへルマン・ティミッヒ、「ワルツ合戦」「たそがれの維納」のアドルフ・ウォールブリュックが主演し、「カイロの結婚」「お洒落王国」のラインホルト・シュンツェルが原作脚色監督に当たったオペレット映画で、撮影は「マヅルカ」「狂乱のモンテカルロ」のコンスタンチン・チェット、音楽は「桃源郷」のフランツ・デーレがそれぞれ担当している。助演俳優は「ベロニカの花束」のヒルデ・ヒルデブラント「浮き雲」のフリーデル・ピーゼッタ、「ジャンダーク」のアリベルト・ヴェッシャー、フリッツ・オデマー等である。

1933年製作/ドイツ
原題または英題:Viktor und Viktoria

ストーリー

ヴィクター・ヘムペルは真面目に熱演すればするほどお客が湧いてしまうという珍優だが、彼自らは天才的な名優で世の俗物共には真価が分からないのだと信じ込んでいた。今日も俳優口入所から断られて帰る途中、これも同じ様に名優を夢見ているブロンドの可愛い娘スザンヌと知り合った。彼は始め大洞を吹いたが、目下一晩十マークの寄席にヴィクトリアという名の女形で出ていることが忽ち露見したので、スザンヌを説き伏せて彼の替え玉として寄席へ出すことにした。さてその結果、彼女は大好評、寄席は破れんばかりの喝采であった。丁度そこへ来合わせていた世界を股にかけている大興行師のポンカーテンは早速これに目を付けて彼女を契約した。ロンドンでの初舞台も大した出来で、スザンヌのヴィクトリアは大変なもて方である。所でヴィクターの方はリリアンという番組係の可愛い娘に夢中になってしまい、スザンヌもお客のロバートという若紳士を秘かに恋するようになったが何しろヴィクターの身代わりで男になっているのでどうしようもなかった。おまけに弱ったことにはリリアンが女とも知らずスザンヌのヴィクトリアに参って、ヴィクターにつれない素振りを見せ始めたのである。その上エリノアという婦人がロバートに気があるらしいのでスザンヌの心配は一通りではない。ロバートは暇さえあればスザンヌを連れ出して遊び歩く。一方ヴィクターは、リリアンが自分につれなくする原因を悟ってしまい、ヴィクトリアはスザンヌといって実は女だよと、口惜しまぎれに喋ってしまった。スザンヌはもう仮面を着けていられなくなり、元の女に帰ってロバートの腕へ飛び込んでいった。時間が来ても肝心のヴィクトリアが舞台に現れないので劇場は大変である。仕方なくヴィクターは昔通りの扮装で代演したが、その珍妙な芸に満場大喝采、来合わせたパンカーテン氏が彼を契約することになり、四方八方円満に収まった。

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