永遠の争い
劇場公開日:1949年8月
解説
「北ホテル」「素晴らしき接吻」のアナベラ、「弾痕」「幻の馬」のフェルナン・ルドウ、「乙女の星」「ジブラルタルの鮫」のルイ・サルー、「海の牙」「美女と野獣」のミシェル・オークレールが主演する映画で、「しのび泣き」「ミモザ館」のシャルル・スパークが「犯罪河岸」のジャン・フェリーと協力して原作脚色して台詞を書き、「情熱のバラ」の製作者ジョルジュ・ランパンが監督し、「大いなる幻影」「旅路の果て」のクリスチャン・マトラが撮影した。助演は「しのび泣き」のリーヌ・ノロ、「恐るべき親達」のマルセル・アンドレ、メアリー・モーガン、ジャネット・バッティその他である。音楽は「山師ボオトラン」モーリス・ティリエが作曲している。
1947年製作/フランス
原題または英題:Eternel Conflit
劇場公開日:1949年8月
ストーリー
貧しい中学校師のジャンヴィエは、妻と年ごろの一人娘と義母と四人暮らしであったが妻は職務に忠実で、世渡りの才能のとぼしい夫をロクでなしのように遇し、彼には娘だけが親しい身内と思えたが、その娘も近ごろは物思いに沈んでいた。妻の言は当らないでもなく、彼は学校で視学と校長に警告を食った。教育者としての信念を捨てきれないジャンヴィエはたちどころに辞職した。帰宅して見ると娘の書置があった。娘は入水して自殺したのであった。絶望したジャンヴィエは妻に離別を宣言して家出した。それから数ヵ月たった。ジャンヴィエは顔にどろ絵具をぬりだぶだぶの服を着て、サーカスのクラウンと成っていた。一座の花形はミス・フロランス、彼女はテントの天辺から場内中央に置いた小さな水おけに命がけのダイビングをするのが芸である。毎夜その命がけのはなれ業を見ているジャンヴィエは秘かに彼女の無事を祈るのである。併し薄給の道化の彼はまして風さいがあがらない中年男の我身をかえりみてゝ己が思いを打明けることはしない。フロランスに思いをかけているのは彼ばかりではない。猛獣使いの好男子アントニオもその一人で、彼にはフロランスも満更ではないらしい。とはいえフロランスには立派なパトロンがあった。シャルドイユという大実業家で妻子ある身ながら真剣にフロランスを愛しているらしく、豪華なアパートに女中をつけて彼女を囲い、宝石や衣装を送り、ぜいたく三昧にさせていた。併し若いアントニオに恋されて見ると妾の生活に嫌気がさして、彼女は別れ話を持ち出した。フロランスは身が軽くなった様な気持ちで、シャルドイユと手を切ったとアントニオに打明けた。ところが男は不満気であった。一筋の愛情にすがりたいフロランスの気持なのに、男は色と欲との二道なのだった。フロランスは腕輪や首飾りをアントニオの手におしつけて飛出した。ジャンヴィエはフロランスの気持ちが火を見るように読めた。彼女のあとを追って行った彼は、やさしくいたわりなぐさめた。フロランスがジャンヴィエに送られてアパートへ帰ると、復縁を乞うた手紙と共に、素晴らしいシャルドイユの送り物が置かれてあった。併し、フロランスはシャルドイユの世話を再びうけたいとは思わなかった。生きて行く喜びが無くなったような気がした。ダイビングの芸をわざと誤って死んで了ったら、そう思いつめてフロランスは縄梯子をよじ上った。いつもと違う--ジャンヴィエはハッとして目をつぶった。次の瞬間、満場は拍手にわいた。彼女は死ななかったのだ。ジャンヴィエは笑った。一方思いなやんだシャルドィユは恋仇のアントニオを殺すつもりでやって来た。併し卑怯者の青年は殺す価値のない男であった。シャルドイユは一切を捨ててフロランスと駆落しようと言った。その三人が和解と別離の盃を挙げているところへジャンヴィエが来合せた。フロランスを真実愛しているのはジャンヴィエだ。三人の胸にそれがピンと響いた時、嫉妬の発作か、アントニオはジャンヴィエを射った。弾丸は、身を翻してジャンヴィエをかばったフロランスに命中した。ぼう然と立っている二人の男に目もくれず、ジャンヴィエはフロランスの亡骸を抱いて立去った。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョルジュ・ランパン
- 脚色
- シャルル・スパーク
- ジャン・フェリー
- 原作
- シャルル・スパーク
- ジャン・フェリー
- 台詞
- シャルル・スパーク
- ジャン・フェリー
- 製作
- Jaques Roitfeld Fransinex
- 撮影
- クリスチャン・マトラ
- 作曲
- モーリス・ティリエ