婦人の困苦と幸福

解説

S・M・エイゼンシュテイン氏の協力者として「全線」その他に腕を振ったエドゥアルド・ティッセ氏がプレエゼンス社の招きに応じ、チューリッヒ医科大学、産科婦人科の臨床講義を題材として製作した映画である。(無声)

1930年製作/スイス
原題または英題:Frauenot-Frauengluck

ストーリー

欧州に於ては一年に二百万以上の婦人が密かに堕胎を行っている。1927年度の統計に依ればドイツに於いては、出産数1 3000 000件の中、875 000件の堕胎が行われた。一体、何が彼女等をそうさせたのであるか。要するにその原因は、貧困と責任観念の欠除に基くのであるが、それらの大部分が自己の無智から悲惨な結果を招いている現状は徒らに黙視するわけにいかない。ここにその無分別な女の例が挙げられる。第一の女は乱暴な手術の結果、危険なる出血を来し、輸血によって辛うじて死を免がれることが出来た。第二の女は、恐るべき荒療治に苦痛の叫びをあげつつ遂に「秘密の住所」で死んで行った。而も堕胎の危険はこれのみにとどまらない。施術者の無智、必要な設備の欠除、消毒の不完全は、種々の疾病の原因となる。然して恐るべき病毒は全身に拡がり、やがて身を滅ぼすに至る。統計は堕胎をした婦人百人中、三十三人は全く健康を破壊し、十人は死に至ったことを示している。生育しつつある生命の否認は出来る限り之を避けねばならぬ。唯、出産が母体の生命の危険ならしめるが如き不可避的な場合に限り行れるべきである。此の場合に於いてもいかがわしき素人の手を煩わすべきではなく必ずや信頼するに足る医師によってなされねばならぬ。だが婦人にとっても亦生れ出る子供にとっても最も幸福なのは正規分娩である。設備の完備した産科病院の分娩室、熟練せる医師と看護婦、凡ゆる突発的な危険に備る用意。そこで産婦は易々とお産をする。小さなベッドには嬰児が或る者は笑い、或る者は泣いていづれも母親の乳房を慕い求めている。嬰児に乳房を含ませている母親の姿、それこそは、使命を果し得た女の幸福そのもの象徴である。

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