ファウスト(1926)のレビュー・感想・評価
全1件を表示
どうする、ファウスト?
『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922)などで知られるドイツの巨匠F・W・ムルナウ監督が文豪ゲーテの代表作『ファウスト』を映像化したサイレント作品。
表現主義の巨匠らしく、序盤の大天使(たぶん)と悪魔が対峙する場面や、ペストを蔓延させる巨大な悪魔の表現方法には圧倒される。
一方で、キリスト教の信仰がない立場にとって、大天使が地上の人間を悪魔との賭けの対象にしたり、魔女狩りのようにグレートヒェンを火炙りに処するシーンにはやはり醒めてしまう。
悪魔メフィストを毒々しくも、どこかユーモラスに怪演したエミール・ヤニングスは本作ののち渡米し、第一回アカデミー主演男優賞受賞者に。
しかし、トーキー時代の到来を期に帰欧したあとナチスの信奉者になったばかりに、華々しいキャリアも空しく終戦と共に役者生命も潰える。悪魔を演じた役者が本当に闇落ちするという顛末は皮肉というも哀れ。
ハンガリー映画に『メフィスト』(1981)という作品があったけど、ひょっとして彼がモデル?!と思って調べたら違ったみたい。
去年、やはりサイレントの『裁かるるジャンヌ』(1928)を観ていなければ大絶賛していた名作。ピアノソロの伴奏も素晴らしい。
ラストで大天使が「それは愛だ!」と叫ぶシーンは、どっかの消費者金融のCMにそのまま使えそう?!
コメントする (0件)
共感した! (0件)
全1件を表示