死滅の谷のレビュー・感想・評価
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圓朝 現る
若くして亡くなった恋人の男を生き返らせてくれと死神と交渉する女性の物語で、百年前のドイツ映画の巨匠フリッツ・ラングの作品です。
キッチリ組んだセットと計算された構図の重厚な物語は、大掛かりなオペラの舞台を見る様な荘厳さで、ヨーロッパ美術の伝統を感じます。同じフリッツ・ラング作でも、以前観た『メトロポリス』の先鋭的な作風とはかなり異なる肌触りでした。また、柳下さんのピアノは、今回の様な欧州映画の方が音が広がる感じがするなぁ・・と、これは勝手な印象。
ちなみに本作では、死神は一本一本に火を灯した蠟燭の長さで人間の寿命を管理しているのですが、
「これって、落語の『死神』と同じじゃないか。洋の東西を問わず人間の想像ってこんなに似るものなのか」
と意外に思っていたら、上映後のトークでまさしくそのお話がありました。落語の『死神』とは、圓朝(1839~1900)が、グリム童話の『死神の名付け親』を翻案して作った物なんですって。へぇ~~! 勉強になるなぁ~!
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