愛の交響楽

劇場公開日:

解説

作曲家フランツ・シューベルトの生涯における最後の十年間を描いた音楽伝記映画。アージェ・スカルペッリ、グラウコ・ペレグリーニ、L・ベンヴェヌーテイ、リアナ・フェッリ、F・ピネリの五名による共同脚本をイタリアの新人監督グラウコ・ペレグリーニが演出した。撮影はマリオ・モントゥオーリでウィーン近郊にロケしている。音楽編成は「越境者」のカルロ・ルスティケリが担当しシューベルトを始めモーツァルト、ベートーヴェンなどの名曲をアレンジしている。主な出演者は、クロード・レーデュがシューベルトに扮する他「洪水の前」のマリナ・ヴラディ、「恐怖の逢びき」のルチア・ボゼー、「ナポリの饗宴」のパオロ・ストッパ、バリトン歌手ジーノ・ベーキ、「夏の嵐」のハインツ・モーグなど仏・伊両国スターが共演している。「越境者」のルイジ・ロヴェレ製作。

1955年製作/イタリア
原題または英題:Sinfonia D'Amore
配給:イタリフィルム=NCC
劇場公開日:1956年3月9日

ストーリー

シューベルト(クロード・レーデュ)の死後二年、ウィーン大音楽堂では“未完成交響楽”が演奏され、薄幸の天才に感動と賞讃をよせる人々は、立錐の余地もないほどつめかけていた。その中にはシューベルトが熱愛したカロリーネ(マリナ・ヴラディ)、彼を慕うテレーゼ(ルチア・ボゼー)、旅回りの道化役者カラファッティ(パオロ・ストッパ)の顔も見え、彼らの瞼には過ぎし日の想い出が走馬燈のように流れるのであった。春のある日、シューベルトはカラファッティ一座とウィーンに向っていた。皇帝の御前演奏をするためである。だが、それは実現しなかった。そのとき、彼を慰め励ましたのはテレーゼで、やがて彼女の想いは恋に変ったが、シューベルトは彼女に友情しか感じなかった。彼の心を捕えたのは、カラファッティの小屋で逢った金髪のカロリーネである。二人はベートーヴェンの庭で楽聖の弾く“月光の曲”を聴きながら、固く抱き合うのだった。それ以来シューベルトはカロリーネを待ちわびた。ところが彼女は遂に現れず、失望の彼はバリトン歌手フォーグル(ジーノ・ベーキ)と演奏旅行に出かけ、フォーグルの紹介でエステルハーツィ伯爵家の二人の令嬢にピアノを教えることになったが、その妹こそ夢にも忘れたことのないカロリーネであった。しかし、身分の相違のため、彼はウイーンに戻って作曲に専念した。運命は彼を見離したというのであろうか、折角あらゆる犠牲を払って催した音楽会も、無慙な結果に終った。失意の彼は街をさまよい、酒に酔いしれ、そして病に冒された。彼が最後の憩いを求めたのは、カラファッティ一座である。シューベルトを乗せた馬車は、まっしぐらに走って行った。

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