禁断の木の実
劇場公開日:1954年4月8日
解説
「赤ちゃん」のエーレス・ダギアールが一九五二年に製作した作品で、監督は近時フェルナンデル主演を多く手がけるアンリ・ヴェルヌイユ。若い娘に心を奪われる中年男を描いたジョルジュ・シムノンの小説から「密会」のジャック・コンパネーズが映画用ストーリーを書き、コンパネーズとジャン・マンス(フェルナンデルの弟)及び監督のヴェルヌイユの三人が脚色した。撮影は「愛人ジュリエット」のアンリ・アルカン、音楽は「巴里の醜聞」のポール・デュランの担当。「陽気なドン・カミロ」のフェルナンデルが主演し、わが国初登場のフランソワーズ・アルヌールが共演、以下「赤い風車」のクロード・ノリエ、「巴里の空の下セーヌは流れる」のシルヴィー、レイモン・ペルグラン(「我われは皆殺人者だ」)、「愛人ジュリエット」のルネ・ジェナン、「奇襲作戦命令」のジャック・カストロ、ピエレット・ブリュノなどが出演している。
1952年製作/フランス
原題または英題:Le Fruit defendu
配給:NCC
劇場公開日:1954年4月8日
ストーリー
四十五回目の誕生日を迎えた医師シャルル・ペルグラン(フェルナンデル)は、誕生祝いの席を急患のために中座した。仕事を終えて帰宅し、人気のない広間で、彼はすぎ去った事件を思出す--ペルグランがこのアルルの町へ老母と幼い娘二人を抱えてやってきたのは七年前のこと。間もなく美しい未亡人アルマンド(クロード・ノリエ)と結婚した。気の弱いペルグランは気位の高いアルマンドに調子を合わせながら、夫婦は表面幸福そうだった。誕生日の数週間前、マルセイユに旅行したペルグランは、帰りの汽車にのりそこねたことから、小娘マルチイヌ(フランソワーズ・アルヌール)と知合い、開放的な魅力に惹かれてその夜をマルチイヌとホテルで過ごした。ペルグランはパリの医師の紹介だと言ってアルルに来た彼女を助手に雇い、妻の目を盗んでは彼女の下宿へ通っていた。しかしマルチイヌにとって田舎の単調な生活は堪えがたく、或る日、ペルグランと口論の果て、ぷいとマルセイユに出かけた。翌日アルルに帰るとペルグランは喜んで迎えてくれたが、その時の二人の接吻をアルマンドが目撃したことには、二人とも気づかなかった。その日はペルグランの誕生日だった。ふとしたことからペルグランとマルチイヌはまた仲違いし、マルチイヌはアルルを去る決心をした。しょんぼり家へ帰ったペルグランを待つていたのは、アルマンドの冷たい追求であった。ペルグランが母も子も捨て、マルチイヌの後を追おうとして駅にかけつけると、マルチイヌはいない。呆然と帰る彼がふと酒場に眼をやると、男と談笑しているマルチイヌの姿が見えた。マルチイヌにも望みを絶たれて家に帰ると、妻や友人が何事もなかったように彼をやさしく迎えた。後悔した妻がその場をとりつくろっていてくれて、客は何も知らなかったのだった。--思い出から我に返ったペルグランがテラスに出ると、夫を待ちくたびれてうたた寝している妻の姿があった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- アンリ・ベルヌイユ
- 脚本
- ジャック・コンパネーズ
- 脚色
- ジャック・コンパネーズ
- ジャン・マンス
- アンリ・ベルヌイユ
- 原作
- ジョルジュ・シムノン
- 製作
- エーレス・ダギアール
- 撮影
- アンリ・アルカン
- セット
- リノ・モンデリニ
- 音楽
- ポール・デュラン
- 編集
- Gabriel Rongier