劇場公開日 1977年2月26日

「オリジナル版をいつか観てみたい」イエロー・ドッグ 青樹礼門さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 オリジナル版をいつか観てみたい

2025年10月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

本作は、主演の田宮氏が製作し、いったん完成したものの、自ら編集を直し、5年後に細々と松竹系で公開された、堂々たるイギリス映画であります。

田宮氏以外はすべて現地の俳優。現地のプロスタッフ。
カメラマンなんて、のちに炎のランナー、愛と悲しみの果てなどを務めた名匠。
セリフはもちろん英語、字幕スーパー、バリバリ洋画です。
田宮氏は、相変わらず風格よく、決めてます。

しかし、なんだろう。
盗聴?オープンリールを財閥のドンに操作するあたりのドタバタは。
突然コメディの魔がさしてくる。

007よろしくベッドの傍らに美女、なーんてのもお手のものではありますが、
この映画、内容を補強するようなナレーション、田宮氏の独白であり、
なんだか漫画チックでもあり。
このあたりが田宮氏の編集でしょうか。

銃撃戦、実弾を使用したらしくかなりの迫力。
フレンチコネクションを彷彿とさせます。
画格もスタイリッシュ。

橋本忍脚本ですから、手だれのテクニック、それなりに展開は楽しめます。
とっ散らかって見えるけど。
演出も手堅く。
音楽がクセになる旋律。

ラストの田宮氏の表情に、日本人が欧米人相手に奮闘した悲哀が隠されているようでした。

青樹礼門