ヘル・ビロウ

解説

エドワード・エルスバーグ中佐作の戦争小説を映画化した超特作で、「燃ゆる海原」のレイモンド・L・シュロックがレイヤード・ドイルと共同脚色し、「アルセーヌ・ルパン」「ニュウ・ムーン」のジャック・コンウェイが監督に当たり、「コンゴ」「僕の武勇伝」のハロルド・ロッソンが撮影した。主役は「燃ゆる海原」「令嬢殺人事件」のロバート・モンゴメリーが勤め、「コンゴ」「狂乱のアメリカ」のウォルター・ヒューストン、「快走艇」「戦く幻影」のマッジ・エヴァンス、「お化け大統領」「キートンの歌劇王」のジミー・デューラント、「地下の雷鳴」のユージーン・パレット、「マデロンの悲劇」のロバート・ヤング、その他が共演している。

1933年製作/アメリカ
原題または英題:Hell Below

ストーリー

米国潜水艇AL14号乗り組みトーマス・ノールトン大尉は大戦酣の頃イタリアのタラント港を根拠地として活動していた。新任の艇長トーラー少佐は典型的な軍人で軍規に関しては峻厳そのもののごとき観があった。艇がタラントに入港した時トーラーはノールトンにその同僚のウォルターと共に舞踏会に出席を命じた。嫌々出席したノールトンはジョーンという美しい娘を見初め、舞踏会を抜け出し町の祭に出かけたが、敵機の襲来を受けたので、2人はノールロンの家に避難した。空襲は2人の愛を急速に実現させたが、夜更けて非常召集を受けたのでノールトンは味気ない別れをした。AL14号は敵の機雷敷設艦を発見してこれを撃沈したが浮上ってウォルタースを指揮として小艇に数名乗り組ませて偵察に出した際、敵の偵察機数機が現れ次いで爆撃機がやって来たので、ウォルタース等を見殺しにして艇は潜水せねばならなかった。タラントに帰ったノールトンは病院でジョーンが障害者の英国飛行大尉の妻である事を知った。彼はジョーンも夫よりも彼を愛している以上、彼女を離婚させても彼女を己がものとしようと決心した。しかしAL14号は即夜出航しなければならなかった。ノールトンはウォールタースが乗っていた小艇を発見すると共に3隻の敵の敷設艦が1隻の駆逐艦に護衛されて作業しているのを発見した。AL14号の使命は他にあったのであるが、ノールトンはウォルタースの敵討と命令に抗って敵に魚雷を発射し敷設艦の撃沈に成功したが、敵駆逐艦は猛烈な逆襲を始めたので艇は海底に避難した。浸水箇所の修理中に窒素が洩れだし、空気は尽きた。浮かび上がって戦うと決心した時にはモーターに故障があった。ようやく修理して浮かび上がると既に敵影はなく、艇はタラントに引き返した。命令に叛き8名の犠牲者を出したノールトン大尉は軍法会議の結果、官位を剥かれ米国海軍の軍籍から逐はれた。ノールトンはジョーンと共に余生を送る量見だったが、彼女の夫が手術の結果健康体に復する事を聞き、且つ深くジョーンを愛し信じている事を知った。彼は自分が身を引く事が最善と信じ、乱酔を装ってジョーンに愛想尽かしをした。翌日は総合艦隊が某港の閉塞を決行する日だった。AL14号はダイナマイトを満載して湾口の砲台を爆破する任務だった。ノールトンは出航前、艇に忍び込んでいた。トーラー艇長は彼の真意を聞き、彼の参加を喜んだ。乗組員全部が救命具をつけて艇を去った時残るはトーラーと彼のみだった。彼はトーラーを艇から突き落として避難させ、自らは敵の十字火を浴びつつ艇を御して目的の砲台に激突して爆破し湾口閉塞に成功した。ノールトンは艇と運命を共にし護国の鬼となった。

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